2018.02.22
新婚クライシス Vol.16―大好きな吾郎くんが、私と結婚してくれたー
数々の苦難の末に、結婚願望のない男・吾郎との結婚に辿りついた英里。
結婚はゴールでないことなど、百も承知。
しかし、そんな二人を待ち受けていたのは、予想を上回る過酷な現実であった。
愛し合っていたはずの夫婦は、どのようにすれ違い、溝ができてしまったのか。
男女の価値感のズレ、見解の相違、そして、家庭外での誘惑...。
“新婚クライシス”を、二人は乗りこえることができるのか?
「新婚クライシス」一挙に全話おさらい!
第1話:独身時代と、何も変わらぬ夫婦生活。“結婚願望のない男”を攻略した女の誤算
―別に、文句なんかない。変なこと考えたらダメよ...。結婚したくなかった吾郎くんが、私と結婚してくれたんだから...。
英里はしばしば、そう自分に言い聞かせることがある。凡人の倍速で生活する吾郎を見ていると、何となく引け目を感じ、自分が妻ではなく、まるで居候にでもなったような気持ちになるからだ。
だからせめて、家事を一生懸命にこなすくらいしか、自分の存在意義はないのだ。そして何より、自分たちが夫婦として不完全に感じてしまうことから、英里は必死で目を逸らしていた。
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第2話:結婚式も、子作りも全否定。偏屈ヒネくれ夫に我慢強い妻の怒りが爆発…!?
できれば一流のホテルで家族や仲良しの友人を呼んで結婚式を挙げ、そのままモルディブやタヒチにハネムーン。新婚生活を1年ほど楽しんだ後には、可愛い娘を授かる...。
だが、現実はどうだろう。
これらの理想を実現するためには、頑固な吾郎といちいち対峙し、結婚前のようなバドルを延々と繰り広げることになるだろうか。それならば.........、、、
第2話の続きはこちら
第3話:“自分至上主義”の夫と冷戦状態の週末。心弱った新妻を癒した、ある男からの一言
「何も変わってないのは、吾郎くんの方でしょう!!!」
グラスが割れる音が深夜の薄暗いリビングに虚しく響いたとき、英里は自分が思わず声を荒げたのに気づきハッとした。
とうとう、やってしまった。なるべく穏便に平和な結婚生活を過ごそうと、これまで散々気をつけてきたのに。吾郎と入籍を果たしたときに感じた、あの天にも昇るような幸福感を一生忘れないと自分に固く誓ったのに。
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第4話:「この目を“あの男”にも向けたのか?」潤んだ妻の瞳に嫉妬した、ドS夫の悲劇
新一は英里の動揺を察したように涼し気に微笑むと、道順を聞き出し、タクシーはあっという間に自宅マンションの前に着いた。
「まだ足元フラついてますよね?ご主人に連絡した方がいいんじゃないですか?」
「いいの...!自分で帰れるから...、あっ!」
そう答えると同時に、足元のヒールが不安定によろけた。すると新一は、遠慮する英里を強く制してマンションの部屋の前まで送ってくれたが、その光景を背後からじっと眺めている男がいることに、二人とも気づきはしなかった。
第4話の続きはこちら
第5話:“理想の父親”へ変貌を遂げた元彼との衝撃の再会。私の選択は、まちがいだった?
元彼であるきんちゃんが赤ん坊を抱いた姿はとにかく衝撃が大きすぎて、英里は動揺を隠せない。あれほど自分を大切にしてくれたのに、きんちゃんでなく吾郎を選んだのは英里自身だ。その決断を後悔したことはないし、未練があったわけでも決してない。
しかし、まさに良き父親の典型例のような彼の姿は、英里が漠然と想像する“幸せな家庭”の理想の父親像にピタリと重なったのだ。
「実は......」
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第6話:ケンカの理由も忘れて機嫌をとる夫と、“夫婦の在り方”に悩む妻。男女間の思考のズレ
―こんなはずじゃ、なかったのに。
六本木一丁目のマンションの前に着くと、英里は大きく溜息をついてしまった。
最近は夫婦仲が冷え切った我が家に帰るのが、憂鬱になっている。独りの寂しさよりも、夫婦一緒にいるのに感じる孤独の方が辛く感じるということを、英里は初めて知った。
第6話の続きはこちら
第7話:妻の“子作り宣言”にノックアウト?自由を愛するエリート夫の、胸の内
―子ども...。
一人部屋に閉じこもった吾郎は、英里の「子どもが欲しい」宣言の重圧を受け止めるのに必死だった。吾郎にとってそれは、まるで死角から思い切りフックパンチを食らった衝撃と等しく、ノックダウン状態からまだ立ち直っていない。
―突然何を言い出すんだ。アイツは......。
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第8話:「夫は、私を見下してる。」“格差婚”のパワーバランスに限界を感じる妻への誘惑
結婚式、ハネムーン、新居、そして子作り。英里の言うことには、この4項目をクリアしないことには“結婚した意味がない”というのだ。しかしそれは吾郎にとって、両者円満の契約締結後にパワープレイで理不尽な追加条件を押し付けられている状態に等しい。
―お前さ、嫁さんのこと好きじゃねーの?―
面と向かって言わないだけで、英里のことは好きだ。例えるならば、PMI=結婚生活にも非常に満足している。しかし、それと追加条件を受け入れるか否かは全く別の話なのである。
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第9話:そもそも、彼には“妻”の存在など必要なかった。ハイスぺ夫に尽くし続けた女の限界
―このまま、本当に......離婚......になるかも...。
だが、それも一つの選択であるような気がした。身の丈に合わない結婚生活を捨てたら、少なくともこの針の筵のような寂しさからは解放されるだろうか。それにこのままでは、年齢的に子作りが難しくなる恐れだってある。
途方もない孤独に暮れる英里だったが、そこに届いたスマホの通知が、心に小さな火を灯す。それは、今ではすっかり英里の理解者となった、新一からのメールだった。
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第10話:深夜のタクシーから手を振る、若く美しい女。夫が冷たくなった理由を、妻が知ってしまった夜
英里が大事な存在であることに変わりはないが(なんせ、この自分が結婚までしたのだから)、妻と自分の間には、どうやっても擦り合わない価値観や人間性の違いが存在する。
ならば、ある程度の距離を保ちながら適度にドライな関係でいるのも、それはそれでアリな気がしたのだ。
そんな風に世間の常識や風潮に流されない本来の自分に戻れたのは、おそらくナオミの影響であった。
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第11話:愛する夫の唇を、頑なに拒んだ妻。険悪な夫婦仲から目を背けた男が受けた、思わぬ制裁
—あれは、誰なの...?
美女を乗せたタクシーと、マンションのエントランスの中へと消えていく吾郎を見つめながら、英里は我が家の前で呆然と立ち尽くしていた。
いや、邪推するには早すぎる。吾郎とあの美女は単にタクシーに乗り合わせただけであり、仕事関係の会食や接待の帰りである可能性も高い。
—そうよ。あの吾郎くんに限って、変なことはない...はず...。
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第12話:「部屋に行ってもいいですか?」孤独に苛まれた別居夫婦を襲う、家庭外の甘い誘惑
あの英里からあれほどの拒絶を受けたあとでは、とてもすぐに顔を合わせる気になれなかったからだ。
「恋人から夫婦になる過程って、誰だってそれなりに衝突しますよ。でも時間が経てば、自然と落ち着いて収まるところに収まります。だから、先生はそのままでいてください。
結婚して急に角が取れて丸くなっちゃう男性なんて、情けないし」
ナオミはツンと澄ました声で言うが、彼女なりに励ましているつもりなのだろうか。しかし次の瞬間、吾郎は耳を疑った。
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第13話:「結婚向きではない」と自覚した自己中夫。愛だけでは歩み寄れない、不器用夫婦の確執
―僕、英里さんが好きですー
切羽詰まったような新一の声が、耳から離れない。頭が完全に混乱し、動揺で呼吸が荒くなった。だがその一方で、英里自身も彼との関係が単なる会社の後輩・先輩を超え始めている気配は薄々感じていたのだ。
しかし新一に抱きしめられたその瞬間、英里は自分の本心に気づいてしまった。あのとき、驚きと焦りの中で頭いっぱいに浮かんだのは、他ならぬ吾郎の顔だった。
第13話の続きはこちら
第14話:既婚男は、自惚れている?35歳のハイスペ夫が“オジサン”を意識した瞬間
「まぁ、既婚のオジサンなんて、エラそうにしてたって、結局みんな揃って意気地ナシってことですね」
少し前の吾郎だったら、こんな鼻持ちならない小娘のケンカなんぞ、いくらでも喜んで応戦して蹴散らしてやっていたと思う。
だが、尖った口調と険しい表情とは裏腹に、20代らしい肌艶と生意気さにはまだ幼さも感じられ、吾郎は不思議と寛容な気分になる。ナオミの言う通り、自分の知らぬ間に“オジサン”になったのだろうか
第14話の続きはこちら
第15話:夫婦は結局“合わせ鏡”。離婚寸前まで崩壊した夫婦を救った、ある歴史的モテ男の名言
“夫婦は合わせ鏡”なんて言葉を聞いたことがあるが、今の自分も、吾郎と同じような顔をしているだろうか。
―英里ちゃんは結局、あの旦那さんじゃないとダメだよー
きんちゃんが言い放った言葉の意味も、今さらながらに心に沁みた。
第15話の続きはこちら
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