新婚クライシス Vol.2

新婚クライシス:結婚式も、子作りも全否定。偏屈ヒネくれ夫に我慢強い妻の怒りが爆発…!?

―大好きな吾郎くんが、私と結婚してくれたー

数々の苦難の末に、結婚願望のない男・吾郎との結婚に辿りついた英里。

結婚はゴールでないことなど、百も承知。

しかし、そんな二人を待ち受けていたのは、予想を上回る過酷な現実であった。

愛し合っていたはずの夫婦は、どのようにすれ違い、溝ができてしまったのか。

男女の価値観のズレ、見解の相違、そして、家庭外での誘惑...。

二人の“新婚クライシス”が、今、始まる...!


「なぁ吾郎、おまえ、結婚式挙げないの?」

丸の内でのランチタイム。『レストラン サングリア』のスパイシーなタイカレーをガツガツ食べながら、同僚の松田が吾郎に問う。

この松田というのは、かなり優秀な弁護士にも関わらず、ポンコツ嫁の尻に敷かれる情けない男である。

「俺は、結婚式なんて下らんことに興味はない」

「マジ。おまえタキシード似合いそうなのになぁ。てか、嫁さんはドレスとか着たいんじゃないの?」

外はすっかり秋モード、肌寒い季節が到来したというのに、松田は額と鼻の頭にたっぷりと汗をかきながら至近距離で吾郎の顔を覗き込む。

「うちの嫁だって、もう30歳過ぎてるんだ。今さらドレスなんか興味ないだろ」

「...それ、本人がそう言ったの?」

「...いや、ちがう。だが言わなくても分かる」

すると松田は大袈裟に目を丸くし、さらに身を乗り出してきた。

「ちなみにハネムーンは?お前、結婚指輪も付けてないよな」

「ハネムーンの予定はない。旅行はお互いの休みが合うときに行けばいいだろう。わざわざ指輪をつけて既婚アピールする意味も分からん。よって、どちらも必要ない」

「お前......それ、絶対ヤバいぞ。結婚生活“墓場行き”の超特急に乗ってるようなもんだぜ」

―お前にだけは、言われたくない。

吾郎は心の中で悪態をつきながら、松田を無視してカレーを食べ続けた。

【新婚クライシス】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo