―大好きな吾郎くんが、私と結婚してくれたー
数々の苦難の末に、結婚願望のない男・吾郎との結婚に辿りついた英里。
結婚はゴールでないことなど、百も承知。
しかし、そんな二人を待ち受けていたのは、予想を上回る過酷な現実であった。
愛し合っていたはずの夫婦は、どのようにすれ違い、溝ができてしまったのか。
男女の価値観のズレ、見解の相違、そして、家庭外での誘惑...。
“新婚クライシス”を、二人は乗りこえることができるのか?
―結婚も、意外に悪くないな。
英里の作った朝食をとりながら、吾郎はしばしば、これまで結婚に否定的だったことを反省する。
出汁の効いた味噌汁と玉子焼きに、炊き立ての白飯、そして、干物なんかの一品おかず。
「朝は残り物とか、簡単なモノばかりだけど...」
英里は照れ笑いで謙遜するが、一般職とはいえ総合商社に勤めながら、こうして朝食を用意してくれるのは感心する。
旅館の朝食のようだと言えば褒めすぎだろうが、吾郎は毎朝健康的な食事が出されることに細やかな幸せを感じ、妻に深く感謝していた。
―まぁ、この俺が結婚を決めたんだから、当然といえば当然か...。
吾郎好みのタヌキ顔の英里は、相変わらず毎日可愛らしい笑顔を浮かべ、幸せそうである。何よりも、彼女は結婚後も吾郎の考えを尊重してくれる、一番の理解者であった。
その辺にたむろしている、単に結婚目当てのOLたちとは月とスッポンほどの差があるだろう。
“家庭”という安心感・幸せの意味を、行動をもって吾郎に教えてくれた英里。
妻への愛が日々深まっていくのを、吾郎はひしひしと実感せずにはいられなかった。
この記事へのコメント
と言いたいが、吾郎と英里の話は面白かっただけに、この続編がどうなるかなあ
面白くなって欲しいけど
続編といえば、崖っぷち結婚相談所の杏子のその後も気になります。