新婚クライシス Vol.11

愛する夫の唇を、頑なに拒んだ妻。険悪な夫婦仲から目を背けた男が受けた、思わぬ制裁

―大好きな吾郎くんが、私と結婚してくれたー

数々の苦難の末に、結婚願望のない男・吾郎との結婚に辿りついた英里。

結婚はゴールでないことなど、百も承知。

しかし、そんな二人を待ち受けていたのは、予想を上回る過酷な現実であった。

愛し合っていたはずの夫婦は、どのようにすれ違い、溝ができてしまったのか。

男女の価値観のズレ、見解の相違、そして、家庭外での誘惑...。

二人は “新婚クライシス”に陥るが、英里はそんな中、「子どもが欲しい」と宣言する。だが夫婦仲はギクシャクしたまま、英里は後輩・新一に心を開き始め、そして吾郎まで後輩の女弁護士・ナオミと意気投合し、険悪な夫婦仲に開き直ってしまう。


—あれは、誰なの...?

美女を乗せたタクシーと、マンションのエントランスの中へと消えていく吾郎を見つめながら、英里は我が家の前で呆然と立ち尽くしていた。

いや、邪推するには早すぎる。吾郎とあの美女は単にタクシーに乗り合わせただけであり、仕事関係の会食や接待の帰りである可能性も高い。

—そうよ。あの吾郎くんに限って、変なことはない...はず...。

そう。吾郎は類稀なる容姿と頭脳に恵まれてはいるが、それが災いし、むしろどちらかというと“女嫌い”である。独身時代から幾度となく衝突はしたものの、女関係に頭を悩まされることは一度たりともなかった。

しかし、だからこそ、彼が若く可愛い女の子と一緒に遅い時間に帰宅するのは、やはり意外なのだ。

慎重で妙に警戒心の強い吾郎がそんな無防備な行動に出るなんて、よっぽど相手を信頼している証拠とも思える。自分を棚にあげるようだが、英里が新一と少し仲良くするのとは、きっと次元が違う。

英里は嫌な胸騒ぎを振り切るように、ゆっくりとマンションへ入っていった。

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