新婚クライシス Vol.8

新婚クライシス:「夫は、私を見下してる。」“格差婚”のパワーバランスに限界を感じる妻への誘惑

―大好きな吾郎くんが、私と結婚してくれたー

数々の苦難の末に、結婚願望のない男・吾郎との結婚に辿りついた英里。

結婚はゴールでないことなど、百も承知。

しかし、そんな二人を待ち受けていたのは、予想を上回る過酷な現実であった。

愛し合っていたはずの夫婦は、どのようにすれ違い、溝ができてしまったのか。

男女の価値観のズレ、見解の相違、そして、家庭外での誘惑...。

二人は “新婚クライシス”を迎え夫婦のすれ違いは深まる。そんな中、英里は元彼・きんちゃんに偶然再会。理想の父親像へと成長した彼の姿に触発され、ついに「子どもが欲しい」と吾郎に宣言し、これまでの結婚生活への不満も一気に暴露した。


―“この女は”って本気で惚れたら、男は何でもできる生き物なんじゃねーの?―

吾郎は釈然としない思いを抱えながら、パレスホテル東京の『ロイヤル バー』で一人マティーニを煽っていた。つい先ほどの松田の言葉が、やけに耳に残っている。

根本的に情けない男として松田を見下していたが、長年ポンコツ嫁の奴隷として鍛えられただけあり、その精神は思ったよりもずっとタフで、吾郎のまだ知らぬ境地に達しているようだ。

―だが、俺はアイツのようになれるワケでも、なりたいワケでもない...。

結婚式、ハネムーン、新居、そして子作り。

英里の言うことには、この4項目をクリアしないことには“結婚した意味がない”というのだ。

しかしそれは吾郎にとって、両者円満の契約締結後にパワープレイで理不尽な追加条件を押し付けられている状態に等しい。

―お前さ、嫁さんのこと好きじゃねーの?―

面と向かって言わないだけで、英里のことは好きだ。例えるならば、PMI=結婚生活にも非常に満足している。しかし、それと追加条件を受け入れるか否かは全く別の話なのである。

むしろ、リスク分析もなしに一方的な意見に流され、現状の満足度が崩れるのが恐ろしいのだ。

吾郎は悶々としながらも家路につき、自宅に到着したのは深夜0時をだいぶ過ぎていた。

だが、そこに妻の姿はなかった。

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