新婚クライシス Vol.4

新婚クライシス:「この目を“あの男”にも向けたのか?」潤んだ妻の瞳に嫉妬した、ドS夫の悲劇

―大好きな吾郎くんが、私と結婚してくれたー

数々の苦難の末に、結婚願望のない男・吾郎との結婚に辿りついた英里。

結婚はゴールでないことなど、百も承知。

しかし、そんな二人を待ち受けていたのは、予想を上回る過酷な現実であった。

愛し合っていたはずの夫婦は、どのようにすれ違い、溝ができてしまったのか。

男女の価値観のズレ、見解の相違、そして、家庭外での誘惑...。

二人はとうとう “新婚クライシス”を迎え、英里は気分転換に参加した飲み会で気分が悪くなってしまう。


「......英里さん!大丈夫ですか?もうすぐ家の近くですよ」

鈍い頭痛と、重たい瞼に逆らって目を薄く開けると、英里は薄暗いタクシーの中にいた。

「英里さんのマンション、このあたりですよね?」

言われるまま外を見やると、車はどうやら六本木通りを走行中のようだ。そして徐々に意識がハッキリすると、隣の声の主は後輩の新一であることが分かった。

「うそ...。私、もしかしてかなり酔ってた...?」

全身の怠さと、不快な胸焼け。じっとりと嫌な汗もかいている。自分の醜態に気づき、英里はサッと血の気が引く。

吾郎との不仲が原因で、ここ数日は寝不足気味だった。そんな状態でワインを口にしたから、思った以上に酔いが回ったのだろう。

飲み会の記憶すら朧げであるし、恥ずかしさと自己嫌悪で、新一をまともに見ることもできない。

「気にしないでください!むしろ、飲ませ過ぎた僕が悪いんです」

新一は英里の動揺を察したように涼し気に微笑むと、道順を聞き出し、タクシーはあっという間に自宅マンションの前に着いた。

「まだ足元フラついてますよね?ご主人に連絡した方がいいんじゃないですか?」

「いいの...!自分で帰れるから...、あっ!」

そう答えると同時に、足元のヒールが不安定によろけた。

すると新一は、遠慮する英里を強く制してマンションの部屋の前まで送ってくれたが、その光景を背後からじっと眺めている男がいることに、二人とも気づきはしなかった。

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