新婚クライシス Vol.14

既婚男は、自惚れている?35歳のハイスペ夫が“オジサン”を意識した瞬間

―大好きな吾郎くんが、私と結婚してくれたー

数々の苦難の末に、結婚願望のない男・吾郎との結婚に辿りついた英里。

結婚はゴールでないことなど、百も承知。

しかし、そんな二人を待ち受けていたのは、予想を上回る過酷な現実であった。

愛し合っていたはずの夫婦は、どのようにすれ違い、溝ができてしまったのか。

男女の価値観のズレ、見解の相違、そして、家庭外での誘惑...。

二人は“新婚クライシス”に陥り夫婦仲はギクシャクしたままついに別居してしまう。そして距離を置いた夫婦は、互いに少しずつ思いを改め始めるが...?


「.........」

英里と新一は、銀座の『ラモ フルータス カフェ』のテーブル越しに向かいあったまま、気まずい沈黙と闘っていた。

先日はまさかの展開で新一に告白をされてしまったが、ここはきちんとケジメをつけなければならないと、今日は英里の方から彼を呼び出したのだ。

「新一くん、あの...」

「英里さん、本当にすみませんでした!!」

英里が口火を切ると、新一は勢いよく頭を下げた。

「僕、どうかしてました。迷惑かけて申し訳ないです」

「そんな、迷惑とかじゃなくて...」

「自分が恥ずかしいです...。英里さんは、結婚してるのに...」

一方的に謝罪され、英里は胸が痛む。

新一の気遣いと、昔、自ら身を引いたきんちゃんの姿が被って見えた。

どうして自分は、いつもこうして周囲に迷惑をかけてしまうのだろう。

問題が起こると他人を頼り、受け身にウジウジと悩み続けているうちに、他人を巻き込んでしまうのだ。

「ちがうの、全部私が悪いの。新一くんは後輩なのに、何だか変に頼っちゃって...。本当にごめんなさい。また、元の仕事仲間に戻ってもらえるかな...?」

思い切ってハッキリと告げると、新一は少し俯いて黙りこんだ後に、小さく答えた。

「元通りは...正直すぐにはキツいです......でも、精進します」

哀しそうに微笑んだ彼の顔を見たとき、英里はいい加減、弱い自分とは決別しなければならないと強く思った。

【新婚クライシス】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo