2017.12.22
結婚願望のない男 Vol.23私の大好きな彼氏には、結婚願望がない。
それを知ったのは、30歳の誕生日。順調な交際を2年も過ごした後だった。
東大卒のイケメン弁護士・吾郎との「結婚」というゴールを、疑うことのなかった英里。彼が結婚願望ゼロと知った日から、薔薇色と信じていた人生は一気に転落。結婚への不安と焦りが爆発する。
結婚を「幸せ」と信じて疑わない英里。結婚願望のない男を、振り向かせることはできるのか?
「結婚願望のない男」一挙に全話おさらい!
第1話:死ぬほど好き。ハイスペ彼氏から受けた、30歳誕生日の強烈な洗礼
「今度の誕生日は、お前が絶対喜ぶプレゼントを用意してるからな。当日までお楽しみだ」
昨晩ベッドの中で、英里は吾郎に耳元でそう囁かれた。
親友の咲子や萌に言うと「キザすぎる」といつも爆笑されるが、英里は吾郎のそんなナルシストな一面にも、いちいち素直にトキめき、腰砕けになる。そして自分は、とうとう最愛の吾郎からプロポーズを受けるに違いない。英里は、そんな薔薇色の未来を信じて疑わなかった。
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第2話:2年付き合った大好きな彼。結婚を期待するのは、悪いことですか?
彼と結婚した暁には、こんな優雅な休日が日常となるのだろうか。英里はスイスイとクロールで泳ぐ吾郎の姿を眺めながら、妻となった自分の妄想に耽った。
―健康志向の吾郎くんのためにも、もっとお料理の勉強もしないと!
しかし、これから始まる修羅場は、英里の夢を粉々に砕くことになるのだった。
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第3話:「結婚したくない理由は3つある。」30歳の誕生日を迎えた彼女に、エリート彼氏が突きつけた現実
「ハッキリ言おう。俺には、結婚願望はない」
吾郎がそう言い切ったとき、英里は現状を上手く飲み込めず、ただ混乱した。もともと自信満々でSっ気のある吾郎ではあるが、今の彼には、恋人への甘さなどは一切感じられない。彼はこれまで見たこともない冷徹な表情で、英里を睨みつけている。
「......ど、どうして......?」
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第4話:「結婚してもらえないなんて、可哀想」女子会で露呈する、キャリア女の僻み
彼は忙しい合間にも英里への連絡は欠かさなかったし、部屋の合鍵だってすんなり渡してくれた。旅行にも何度も出かけたし、お互いの友人に会い紹介し合う機会だって少なくなかった。
結婚を期待するのは、当然の流れであったはずだ。逆に、これほど順調に2年も付き合ってきた恋人に、なぜ、あれほど結婚を拒まれるのか。
―私の魅力が足りないの?それとも...?
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第5話:「感情的な女の話は、生産性ゼロ。」女心を砕く、偏屈男の捨て台詞
英里は吾郎を見つけると、いつも瞳を輝かせて嬉しそうに走り寄って来る。その様子は、自分にやたらと懐く子犬を思わせた。
選民意識が高く偏屈な吾郎ではあるが、正直過ぎるほどまっすぐな愛情を自分に向ける英里に対しては、それなりに心を開き、気を許していたのだ。
「結婚」などと言うワードを、不意打ちで口にされるまでは。
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第6話:「2年後に結婚できる」と占いに依存する女。恋に盲目なとき、友の助言は素直に聞けない
「ねぇ、咲子はおみくじ引かないの?」
「私は神頼みなんて期待しないし、こういうの信じないから」
ドライに言い放った咲子は、実際に「具体的な解決案」を提案してくれた。
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第7話:「結婚は嫌だ。だが、別れたくない」頑固男の、精一杯の歩み寄り。
何気なくスマホをいじると、「彼が結婚を意識する5つの瞬間」「この子と結婚したい!と彼に思わせる方法」などという記事を、ついついクリックしてしまう。
しかし書かれているのはだいたい同じような内容で、特に役立つものではなかった。英里はその度に小さく溜息を洩らし、どんどん自分が不幸な女になっていく気がした。
すると、一通のLINEが届く。相手は、最近すっかりLINE友だちになった、金之助(通称きんちゃん)だった。
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第8話:結婚願望のない彼氏に絶望。目の前に現れた、プーさん風・癒し系男に揺れる女心
吾郎は、結婚までは最短で3年半かかると言った。30を過ぎた女にとっては永遠とも思える時間である。確証もない約束に期待して33歳で結婚に至らなかった自分を想像すると、背筋が凍る。
すでに2年もの順調な交際を経て、どうしてそれほど結婚に臆病になるのか、英里にはやはり理解できない。吾郎は3つの理由を述べていたが、要は自分が軽んじられているだけとしか思えなかった。
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第9話:ロマンチックな結婚なんて、2017年の東京では実現不可能。感情抜きの婚活は「悪」でない
「結婚」という憎きハードルにぶち当たってから、英里は泣き顔か怒り顔しか吾郎に見せていなかった。結婚スイッチが入ると、女は変わる。
男にとっては理不尽で腹立たしい話だが、まぁ仕方がない。吾郎はそんな風に思っていた。しかし他の男の前で、英里は以前の可愛いままの英里であり、変わらぬ人懐こい瞳で太った男を見つめていた。
―あいつは、俺のことが好きなんじゃないのか......?
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第10話:「独身女=負け組」なんて風潮がなければ、私は幸せだった。結婚の呪いに負けた女
「俺と結婚したいだの騒いでおきながら他の男とイチャつくとは、お前も大層な“港区女子”だな。ちなみに軽率な行動は、結婚を検討する上で大いにマイナスになるぞ」
吾郎の嫌味に、英里も感情の糸がプツンと切れた。
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第11話:何でアナタが【ご報告】?結婚できない女を襲う、過酷すぎる試練
―結婚してもらえない女は、こうやって自虐的になって、不幸オーラを纏って、みすぼらしく老いて行くんだわ...
「英里ちゃん!」
不幸のどん底に堕ちてく英里にストップの声をかけたのは、きんちゃんだった。
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第12話:親友の婚約を、どうしても喜べない。狂気に陥った女が破壊した、一番大切なもの
萌の妊娠に加えて、咲子の結婚。
最近の女子会の話題は、いつも英里と吾郎のイザコザがメインで、二人の近況はほとんど聞いていなかった。 英里が進展のない話をウダウダと愚痴る間に、二人は二歩も三歩も先へ、人生の駒を進めていたということだ。
「英里......?だ、大丈夫......?」
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第13話:最愛の彼から告げられた、残酷な別れ話。失恋ショックで3キロ痩せた女の救世主とは?
2年間の付き合いの中で築いた絆や、楽しい思い出だってたくさんある。そんな二人が突然別々に生きていくなんて、そんなことは起こり得るはずがない。しかし吾郎は、英里のLINEや電話にも、全く反応を見せてくれなかった。
そして、日に日に不安と胸の痛みが募る中、英里のもとにダンボールが1つ届いた。
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第14話:「2番目に好きな男の方が、女は幸せになれる」は本当なの?大失恋後の告白に揺れた夜
どこまでも大きく膨らんだ恋心は、吾郎の些細な発言や行動に一喜一憂し、いつ何時も彼の意向や価値観を優先した。笑顔で愛情を示し、自分の気持ちは後回し。時おり胸に芽生える我儘は無視するように努める。
吾郎に尽くし、吾郎のレベルに追いつこうと必死に背伸びすることに、英里はある種の盲目的な幸せを感じていたのだ。
そう、きんちゃんとの付き合いが始まるまでは。
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第15話:忘れられない元彼との再会。未だに甘く響く彼の声に、容赦なく傷つけられた日
英里がこの店の名物であるブリオッシュを使用した“マルクス・フレンチトースト”を味わい、幸せに浸っているときだった。
ブリオッシュならではのふわとろ、サクサク触感のフレンチトーストに「おいしい~!」と歓声を上げた英里を、きんちゃんがふざけて写真に収めようとしていた。
それに応えようと英里がそのまま笑顔を向けると、iPhoneを構えるきんちゃん越しに、信じられない光景が目に入った。
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第16話:輝くダイヤに傷があってもいい。失恋の傷が癒えぬ女が知った、婚約指輪の真の価値
きんちゃんとの関係はこれ以上ないほど順調で、気持ちも徐々に追いつきつつある。しかし、吾郎との失恋の傷が完全に癒えていたわけではなかった。哀しいかな、人の気持ちはそう簡単に切り替えられるものではない。
―お前にピッタリな相手が見つかって良かったな―
まだ不安定だった英里の心は、吾郎の痛烈な嫌味によって、完全に乱されてしまった。
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第17話:男は、結婚しない=“楽”なの?心許した恋人と破局を選んだ独身貴族の本音
英里と別れてからの吾郎は、以前にも増して益々“こじらせて”いる。元々少なかった人付き合いはさらに減少したし、毎晩遅くまで仕事に没頭し、休日は貪るように大量の本を読み、ジムで身体を鍛えてばかりいるようだ。
それを「真面目」の一言で片づけてしまえば楽なのかも知れないが、そんなストイックな生活を送る吾郎が、瑠璃子にとっては不健康に見えて仕方がない。
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第18話:憧れの“結婚”まで秒読みなのに。優しすぎる彼への気持ちに、拭え切れない違和感。
死ぬほど好きでも、その言動や行動にいちいち過剰反応させられてしまう男。刺激はなくとも、穏やかで平和な生活を育める男。結婚向きなのは、どう考えても後者だ。
吾郎のようにエキセントリックな男と生涯をともにするのは、きっと大変だろう。出産や子育てなど、結婚後に起こるイベントでもいちいち苦労し消耗するに違いない。
頭では、ちゃんと分かっている。なのに......
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第19話:フラれても傷つけられても、大好きだった。元彼への復讐心が招いた思わぬ誤算
背後から吾郎の妹だと名乗った女を、英里は恐る恐る振り返る。
吾郎の新しい恋人だと思い込んでいたため、なかなか直視することができなかった美女。しかしよく見れば、整った顔立ちや骨格、特に綺麗な唇の形が、吾郎によく似ていた。
「妹さんが、どうして......?」
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第20話:婚活の最重要事項。女が見極めるべきは、男が口にできぬ本音
「......英里、俺と結婚しよう」
想像をはるかに上回る吾郎の発言に、英里はただ耳を疑った。
「......私のこと、また、からかってるの...?」
英里がやっと発した一言は、小さくかすれてしまった。抱きしめられた腕を振りほどこうとするが、吾郎の力は思ったよりも強い。
「からかってない。本気だ」
「......なんで、急にそんなこと言うのよ...?」
第20話の続きはこちら
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