結婚願望のない男 Vol.5

結婚願望のない男:「感情的な女の話は、生産性ゼロ。」女心を砕く、偏屈男の捨て台詞

私の大好きな彼氏には、結婚願望がない。

それを知ったのは、30歳の誕生日。順調な交際を2年も過ごした後だった。

東大卒のイケメン弁護士・吾郎との「結婚」というゴールを、疑うことのなかった英里。結婚願望ゼロと知った日から、薔薇色と信じていた人生は一気に転落。結婚への不安と焦りが爆発する。

結婚を「幸せ」と信じて疑わない英里。結婚願望のない男を、振り向かせることはできるのか?


六本木一丁目の自宅のベランダにて、吾郎はイライラしながら、煽るようにビールを飲んでいた。

朝からマンション内のジムで運動し、サウナでたっぷり汗を流し、その後はビジネス書を3冊軽く読んだ。

通常の週末であれば、この3つのルーティンを済ませた後に英里がひょっこりと現れ、少々騒がしいながらも平和な週末を過ごすのが常だ。

しかし、英里とは誕生日祝い以来、しばらく会っていない。今日も特に予定はなく、休日の気持ち良く晴れ渡った空は、呆気なく夕暮れ色に染まりかけていた。

吾郎は、自分が酷く生産性の低い、無駄な1日を過ごしているような焦燥感に駆られてしまう。

―俺は、あいつに振り回されてるのか......?

そんな風に思うと、無性に腹が立つ。たかが女との喧嘩の影響で、貴重な週末にブルーな気分に浸るなど我慢できなかった。

吾郎は、いつもキャッキャと楽しそうな英里の顔を思い出す。少し離れた、垂れ気味のパッチリした大きな瞳。超美人というわけではないが、可愛気のあるタヌキ顔は、単純に吾郎のタイプだ。

英里は吾郎を見つけると、いつも瞳を輝かせて嬉しそうに走り寄って来る。その様子は、自分にやたらと懐く子犬を思わせた。

選民意識が高く偏屈な吾郎ではあるが、正直過ぎるほどまっすぐな愛情を自分に向ける英里に対しては、それなりに心を開き、気を許していたのだ。

「結婚」などと言うワードを、不意打ちで口にされるまでは。

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