2021.06.08
夫婦、2人。 Vol.12結婚しても子どもを持たないという選択は、もう特別なものでもない。
“2人”が、家族のかたち。
明るい未来を信じて、そう決断する夫婦も多い。
それでも…悪気のないプレッシャーや、風当たりの強さに、気持ちがかき乱されることがある。
これは、3人の女が「夫婦、2人で生きていく」と決めるまでの、
選択と、葛藤と、幸せの物語。
「夫婦、2人。」一挙に全話おさらい!
第1話:「小さなお子さんを連れてくるのは、ちょっと…」厳しい態度をとった新婚妻の、複雑な胸のうち
ピラティススタジオのオーナー兼インストラクターの美菜の朝は早い。
早朝5時すぎに起床すると、準備もそこそこに恵比寿のスタジオに向かい、広い窓を一人で全部磨くのが日課だ。
スタッフたちは「自分がやります」と言ったり、業者に頼もうと提案したりするけれど、若きオーナーの美菜はそれを聞かない。
「窓を磨くと、心まで綺麗になる気がするんです。大事な私のスタジオだから、せめてこうして心を込めて掃除することで感謝しなくちゃ」
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第2話:「私、一生子ども産まないから」20代女子が独身なのにそう決めた、意外すぎる理由
― 新婚夫婦が住宅を購入するって、家族が増えるのが前提で話が進むんだ…。
美菜と篤彦の部屋探しはそんな幕開けだった。
「ここまで気が滅入るだなんて、予想外だったな」
「もし美菜が良ければだけど…俺にも考えがあるんだ」
肩を落とす美菜の顔を覗き込み、篤彦は神妙な面持ちで言った。
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第3話:「あんたの旦那、○○なんでしょ?」久々の同窓会で新婚妻に浴びせられた、失礼すぎる言葉とは
母子家庭の美菜の家族は、母親ただ1人だ。そしてその母親は、バレエの指導者でもあり、家庭はレッスン場の延長線上にあった。
娘を一流のバレリーナに育て上げることだけに執念を注いだ母が、美菜が1人で引退を決めたことに半狂乱になったのは言うまでもない。百歩譲ってそれならば、指導者として教室の後継に…と考えていたであろう、その矢先。またしても独断を貫く娘から、電撃的な年の差婚を告げられることになったのだ。
これで、母娘の亀裂は決定的なものとなった。
― お母さんとは距離を置こう。私には篤彦さんがいるし、友達だって…。
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第4話:同窓会で再会した元彼に、心を開いたら…。新婚妻が深く傷つくことになった理由は
『やっぱり美菜の旦那さんが、本当に美菜のことを愛しているとは思えない。20歳も年下の女性と恋愛するって俺には想像つかないよ。目を覚まして欲しい。俺はいつまでも待つから』
たしかに、高校生のときは「光とずっと一緒にいたい。結婚して優しいママになる」と、幼い夢を描いていた。
あの同窓会の日、光に頼って泣きついたのも事実だ。懐かしい相手に心も開くことができたし、安心感もあった。
でも、結局光も、他の同級生たちと同じだった。そのことが美菜はたまらなく悲しかった。
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第5話:結婚7年目の妻が「絶対に軽々しく聞かないでほしい」と思っている、デリケートすぎる質問とは
レッスン終了後、すっきりと気が晴れた真琴は、ふいに美菜に声をかけた。
「ここに通い始めたときは仕事も忙しくて、不眠気味で生理も不規則だったんです。それが今はすっかり治りました」
「それは良かったです。そう言ってくれる生徒さん多いんですよ。真琴さん、仕事忙しいのに頑張って通ってくれていますもんね」
美菜は額の汗をぬぐいなら、真琴に温かく応じる。
「美菜先生、実は私、子どもが産めないんじゃないかって心配していて…」
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第6話:「寝室を分けて、もう何年だろう…」夜しのび込んできた妻に、夫がとったひどすぎる仕打ち
「全然対等じゃないよ…」
真琴は、夫のスマホに表示されている「亜里沙」という名前を見ながら、ぽつりと呟いた。
樹は深く眠っているので、スマホの履歴を探るのは今がチャンスかもしれない。通話ボタンを押せば、ロックも解除できて、そのまま操作ができるだろう。
真琴は、樹のスマホに触れようと手を伸ばした。そのときだった。
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第7話:「夫が女に夢中だと知っていたけれど、まさか…」想像以上にショッキングな興信所からの結果とは
真琴は興信所に依頼し、浮気の証拠現場を押さえるための手はずを組んだ。
亜里沙という女と男女関係にあることは、明らかだ。樹は大して隠すつもりもないのだろうから、きっとすぐに現場は押さえられる。
「夫婦間でもプライバシーが一番大切」と常日頃豪語している樹にとって、興信所に隠し撮りされるなど許しがたい行為だろう。
即離婚と言われる覚悟もできているし、そうなる可能性は限りなく高い。樹がコソコソしていない以上、地道に真琴が証拠を集めることも可能なはず。ただ、真琴は“知りたい”わけではない。ただ、話し合うための“手段”が必要だったのだ。
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第8話:「君に触れなくなった理由は…」若い女に惚れ込んだ夫が打ち明けた、むちゃくちゃすぎる言い分
「嘘だなんて…。もう、あの女性との関係も隠すつもりもないし、縁も切る。正直に全部話してるつもりだ」
「違う。履き違えてたなんて言うの、卑怯よ。自分が好き勝手に外で恋愛するために、“お互いを尊重する”だなんて、意識高めな大義名分を掲げてただけだよね。この期に及んで、じゃあ仕方ないよって許してもらいたいだけでしょ」
真琴は、しっかりと樹の目を見据えて、言い切った。
「あなたが自分の罪を認めないなら、そしてこれからも変わらないなら、離婚するしかないわ」
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第9話:「ごめんなさい…」何度も夫に謝りながら泣きじゃくる妻。その予想外の本心とは
「不妊治療は、これで終わりにします」
マイナスが表示された検査薬の前で、藍子はきっぱりと告げた。カルテから顔を上げた医師は息を飲む。
「本当に良いんですか?」
「はい。もう43歳ですし、ここで区切りをつけます」
「…そうですか。力が及ばず申し訳ありませんでした」
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第10話:「おなかに赤ちゃんが…」そう言いかけて撤回した女に、男が告げた衝撃すぎるニュースとは
二人の出会いは、もう25年近くも前になる。当時、医大生だった藍子と、広告代理店勤務だった篤彦は、いわゆる合コンで出会ったのだ。結局、篤彦と藍子の同級生が付き合うことになり、グループでの交流がその後数年間続いた。
篤彦たちカップルもいつの間に別れ、藍子たち医大生は学業も忙しく、自然と交流の機会は減っていった。しかし、それでもその後十年くらいは誰かしらの結婚パーティーで再会したり、ときには集まってお酒を飲んだり、細く長い縁が続いていた。
それでも、篤彦と藍子が会うのは10年ぶりくらいだろうか。藍子はクリニックを開業したばかりで、篤彦は…
第10話の続きはこちら
第11話:慶応医学生女子と文学青年のドラマみたいな恋。出会って20年の決意とは?
藍子にとって、淳之介のようなタイプは新鮮だった。正直、藍子はちやほやされることには飽き飽きしていたし「いずれは医師と結婚すること」を望まれているのも負担だった。
反発心が強まる中、大学の図書館で出会ったのが、同じ院生の淳之介だ。
図書館の片隅で木漏れ日を浴びながら、分厚い洋書を読む青年の美しい横顔。銀縁の眼鏡。少し長めの黒い髪。シャツにスラックスというシンプルな装い。その姿を見たときの衝撃を、藍子は忘れることができない。さながら少女漫画の主人公のように、胸がずきんと脈打ったことを覚えている。
第11話の続きはこちら
【夫婦、2人。】の記事一覧
2021.06.09
Vol.13
「”母親”にならなくてもいいよね?」夫と徹底的に話し合った妻が、辿り着いた結論とは
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Vol.10
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