夫婦、2人。 Vol.3

「あんたの旦那、○○なんでしょ?」久々の同窓会で新婚妻に浴びせられた、失礼すぎる言葉とは

結婚しても子どもを持たないという選択は、もう特別なものでもない。

“2人”が、家族のかたち。

明るい未来を信じて、そう決断する夫婦も多い。

それでも…悪気のないプレッシャーや、風当たりの強さに、気持ちがかき乱されることがある。

これは、3人の女が「夫婦、2人で生きていく」と決めるまでの、

選択と、葛藤と、幸せの物語。

◆これまでのあらすじ

心身の不調から若くしてバレリーナから引退した美菜。その頃出会った20歳年上の篤彦の包容力の虜になり、猛アタックを開始する。たじたじの篤彦に、美菜はついに告げるのだった。

▶前回:「私、一生子ども産まないから」20代女子が独身なのにそう決めた、意外すぎる理由


「結婚してください」

昼下がり、1組の男女が新宿御苑のベンチで並んで座り見つめ合っている。プロポーズの言葉は思いの外大きく響き、通すがりの犬の散歩をしている老夫婦が目を丸くして2人を見つめた。

「あらまあ」

老婦人が仰天の声を上げた理由は、明らかだ。プロポーズの言葉を発したのが、男性ではなく女性だったこと。しかもその2人は親子ほど年齢が離れているのだ。

周囲の視線を気にしたのは篤彦の方だ。美菜は真剣な眼差しで篤彦を凝視したまま、もう一度言った。

「篤彦さん。私と結婚してください」

篤彦は自分でも理由のわからないため息を深くつき、うなだれた。逆プロポーズの現場に居合わせてしまった老夫婦は、愛犬のリードを握りしめたまま思わず拍手をする。

「良い時代ね。お幸せに」

老夫婦の祝福に、美菜は満面の笑みで頷いた。

「はい!私この人のこと、幸せにします!」

美菜は篤彦に腕を絡める。篤彦は苦笑いしながらも、

「期待していますよ」

と言い、2人は晴れて夫婦になる決意をした。

そして同時に、美菜は大切なものを失うことになったのだ。

―ううん。大切だって、思い込んでいただけだったのかな…。

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