結婚願望のない男 Vol.18

憧れの“結婚”まで秒読みなのに。優しすぎる彼への気持ちに、拭え切れない違和感。

私の大好きな彼氏には、結婚願望がない。

それを知ったのは、30歳の誕生日。順調な交際を2年も過ごした後だった。

東大卒のイケメン弁護士・吾郎との「結婚」というゴールを、疑うことのなかった英里。彼が結婚願望ゼロと知った日から、不安と焦りが爆発。

とうとう吾郎との破局を迎えた英里は、傷心を乗り越え、結婚願望のある男・きんちゃんと、ついに結婚を決意しつつある。しかし一方で、実は吾郎も英里を忘れられずにいた。


Instagramで「#プレ花嫁」と検索すると、純白のドレス、色とりどりの美しい花束、そして結婚を間近に控えた女たちの幸せそうな姿がずらりとスマホの画面に並ぶ。

どのブランドのドレスが写真映えするとか、結婚式用の小物のDIYテクニックなど、結婚式の最先端情報はInstagramで入手できるのだ。

英里はここ数年、長いこと「花嫁」に多大な憧れを抱いていた。

ロマンチックなプロポーズに、愛の証として贈られるダイヤの指輪。お姫様気分でのドレス選びや、工夫を凝らした結婚式の準備も、きっと夢のように幸せに違いない。

実際、親友の萌や咲子のドレスや小物選びに付き添ったときも、楽しくて仕方がなかった。それが自分のためであったら、どれほど高揚するだろう。

女なら、幼い頃に一度はお姫様という存在に憧れる。そして、誰しも少なからず“お姫様願望”なるものを胸に秘めているはずだ。

花嫁という立場は、その隠れた“お姫様願望”を存分に発揮できる大義名分であるとも言える。

昔から夢見がちで、ディズニーのプリンセスが大好きだった英里は、花嫁への思いも人一倍強かった。

それなのに、どうしてだろう。

「英里ちゃんの理想の結婚式にしたらいいよ」

優しいきんちゃんの言葉に対して、素直に幸せを実感できない自分に、英里はひどく戸惑っている。

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