結婚願望のない男 Vol.8

結婚願望のない彼氏に絶望。目の前に現れた、プーさん風・癒し系男に揺れる女心

私の大好きな彼氏には、結婚願望がない。

それを知ったのは、30歳の誕生日。順調な交際を2年も過ごした後だった。

東大卒のイケメン弁護士・吾郎との「結婚」というゴールを、疑うことのなかった英里。彼が結婚願望ゼロと知った日から、不安と焦りが爆発。占いに行き、友人にもアドバイスを求める。しかし、吾郎は「結婚は嫌だ」の一点張り。

そんなときに出会った、結婚願望のある男・きんちゃん。吾郎に盲目だった英里が、友人の勧めで彼とデートすることになった。


―きんちゃんは、友達だもん。

まるで言い訳をするように、英里は自分に「きんちゃんは友達」と言い聞かせる。吾郎以外の男性と二人きりで会うのは、久しぶりのことだ。

「結婚を1年9ヶ月かけて“検討”する」と一方的に言い放った吾郎は、すっかり英里との関係を修復したものと思っており、以前のように週末は一緒に過ごす気でいるようだった。

それを英里は「友達と映画を観に行く約束をしている」と、勇気を振り絞ってやんわり断った。チクリと罪悪感が疼いたが、しかし、嘘をついているわけではない。

―吾郎くんには、私の立場なんか分からないんだわ。

吾郎は、結婚までは最短で3年半かかると言った。30を過ぎた女にとっては永遠とも思える時間である。確証もない約束に期待して33歳で結婚に至らなかった自分を想像すると、背筋が凍る。

すでに2年もの順調な交際を経て、どうしてそれほど結婚に臆病になるのか、英里にはやはり理解できない。吾郎は3つの理由を述べていたが、要は自分が軽んじられているだけとしか思えなかった。

本気で自分のことを愛してくれていたら、きっとすぐにでもお嫁さんにしたいと思うはずだ。

モヤモヤと思い悩んでいると、目の前にベンツのクーペが停まる。

「英里ちゃん!お待たせ!乗って乗って」

相変わらずのプーさん風の笑顔を浮かべて、きんちゃんは車のドアを開けてくれた。

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