結婚願望のない男 Vol.2

結婚願望のない男:2年付き合った大好きな彼。結婚を期待するのは、悪いことですか?

私の大好きな彼氏には、結婚願望がない。

それを知ったのは、30歳の誕生日。順調な交際を2年も過ごした後だった。

東大卒のイケメン弁護士・吾郎との「結婚」というゴールを、疑うことのなかった英里。彼が結婚願望ゼロと知った日から、薔薇色と信じていた人生は一気に転落。結婚への不安と焦りが爆発する。

結婚を「幸せ」と信じて疑わない英里。結婚願望のない男を、振り向かせることはできるのか?


不安と期待の入り混じった緊張感が、英里を包む。

今日は、記念すべき30歳の誕生日だ。英里は冬のボーナスで購入したマックスマーラのフォックスファー付きのコートに包まれ、アマン東京のロビーで吾郎を待った。

今朝届いたダイソンの加湿器の衝撃は、喉に魚の小骨が刺さったかのように、しつこく英里の心をチクチク刺激している。

―30歳の誕生日プレゼントが加湿器だけなんて、そんなワケないじゃない......

2年間付き合った彼氏との、30歳の誕生祝い。英里にとって今日この日は、大きな大きな意味を持つ。いや、女なら誰だって同じはずだ。運命の日、勝負の日、もしくは人生が決まる日、と言っても過言はない。

英里は嫌な予感を振り払うように、口角をキュッと無理矢理持ち上げ、プロポーズされる女に相応しい表情を作った。

するとエレベーターホールから、すらりと背の高い男が現れた。吾郎は英里に気づくと、サッと片手を上げて合図する。

マッキントッシュのカシミアダウンに、シンプルなジーンズ。カジュアルだが品のある吾郎の休日ファッションは、後光がさすかのように素敵だった。

「よう、誕生日おめでとう」

あまりのイイ男具合に、英里はついつい身体がトロけるような感覚に陥る。

吾郎に肩を抱かれ部屋に向かう英里は、幸せを存分に実感していた。

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