この愛のない世界で Vol.11

恋に迷走中の30歳女。東京砂漠で本当の愛を見つけられるのか?「この愛のない世界で」全話総集編

昔は、もっと簡単に人を好きになっていた。愛することなんて、当たり前のようにできていた。

でもいつからだろうか。臆病になり、愛することを忘れ、恋をすることがこんなにも難しくなったのは。

“もう誰も人を好きになれない”症候群の倉松美佳・30歳。

最後に、本気で人を愛したのはいつ?この東京に、愛はあるのだろうか・・・・。

「この愛のない世界で」一挙に全話おさらい!

第1話:「私、このまま帰りたくない…」金曜24時、寂しさを紛らす男といても虚しいだけ?

この季節になると必ず思い出す、1年前のあの日―。

ハラハラと粉雪が舞う中、表参道のけやき並木には暖色のイルミネーションが美しく光り輝いていた。

「ごめん、美佳とは結婚できない」

大好きだった慶太から婚約破棄を言い渡された時、私の周りだけ、まるで時が止まったようだった。

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第2話:どんなにいい女がいても、心が動かない。東京砂漠で悶える男の寂しさ

東京タワーが綺麗に見えるこのマンションに越してきて、もう5年になる。 学生の時に作ったゲームアプリがたまたま売れ、僕は25歳で信じられないくらいの大金を手に入れた。

だけど、どうしてだろう。大金を手に入れて幸せなはずなのに、以前の人生の方が尊いもののように感じるのだ。

「あれ?祥ちゃん〜?」

寝室から再び甘ったるい声がする。苗字も、“ナナ”の漢字も知らない彼女がいる寝室へと戻った。乾いた感情を、抱きながら。

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第3話:「3ヶ月後には、名前も思い出せない人ばかり…」LINEの連絡先が増えるほど、孤独感を増す女

「次郎、お前も帰んの!?つまんねーなぁー」
「ごめん、僕も明日早くて。美佳さん、駅まで送っていきますよ」

—たしか名前は・・・次郎さん。鈴木次郎さん、だよね??
一生懸命名前を思い出す。

なかなか人の名前を覚えられないのは、私の悪い癖だと思う。でもこうして何十人、下手すれば何百人と出会っても、もう一度会いたいと思う人は何%くらいの確率でいるのだろうか。

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第4話:「一番辛いのは、裏切られた私なのに…」。見知らぬ女に家庭を壊された妻が取った、夫への意外な態度

旦那の浮気に気がついたのは、半年前のことだった。見慣れぬレシート、そして深夜帰宅した彼のスーツについていた、安っぽいラメ。

だけど、どうしてだろうか。それを見つけた時の私は、不思議と落ち着いていた。発狂することもなく、泣き叫ぶこともなく、ただただ、私は脱衣所で彼のスーツを見ながら呆然と静かに立ち尽くしていた。

私の唯一の居場所は、家庭。それは名もしれぬ女によって、簡単に壊されたのだ。

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第5話:「彼のこと、本当に好きなの?」何も妥協できず一方通行の恋愛を繰り返す30歳・独身女の孤独

大親友・紗弥香の旦那が浮気をしていたことを知ったのは、つい先日のこと。

相手の不貞行為を知りながらも黙って夫婦生活を続けると結果を出した紗弥香には、独身の私には計り知れない何かがあるように感じた。

「結婚って、何なんだろう」

そう思いながら、私は先日デートした次郎のことを思い出していた。

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第6話:「今更ズルいよ・・・」決して結ばれることのない男からの甘い囁きに、復縁を期待して惑わされる女

大きくため息を吐きながら表参道の交差点をぼうっと渡る。

次郎は穏やかで優しくて精神的にも安定していて、付き合ったら最高の彼氏、また最高の旦那になるだろう。でもそんな彼には何も感じなかったのに。

どうして女好きで何を考えているのかよく分からない、好きになったら不幸になりそうな人にハマっていくのだろう。

そんなことを考えていると、信号が点滅し始めたので慌てて走り出そうとした、その時だった。

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第7話:「うちの嫁としては迎えられない」恋愛結婚を禁じられ、父親が決めた“政略結婚”に甘んじた男の狡さ

あれは半年前のこと。あの時僕は、“もう結婚はしたくない”と心底感じた。

僕は美佳と真剣に交際をしていた。何となく始まった交際だったが、彼女と一緒にいると本当に楽しくて、何よりとても居心地が良かった。そしてごくごく自然に、“結婚”を意識するようになっていた。

だが、そんな僕の願望とは裏腹に、一つの壁が立ちはだかったのだ。

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第8話:「別に、遊びじゃないから」西麻布の路地裏で強引に抱き寄せてくる男を、女が拒まなかった理由

「次郎さんは、落ち込むこととかないんですか?」

いつも周囲に気を使ってくれて、優しい次郎。彼みたいな、太陽のように明るい人といると毎日平穏に過ごせそうだ。

「そうですねぇ。たまに落ち込む時もありますが、その時はサーフィンしたり運動したりして、頭をスッキリさせます!」

どこまでも人がよく爽やかな次郎に、私は思わず笑顔になる。本当に幸せになりたいなら、こういう人を選ぶべきだと私の心はまた揺らぐ。

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第9話:「他の女と抱き合っていた夫と、一緒のベッドで寝るのはもう無理…」30歳の美人妻が崩壊した理由

「あのね、実は離婚しようと思うの」

金曜の夜。白金の『和味 大輔』に集まった私と葉月の前で、紗弥加は突然、そして淡々と切り出した。

「え・・・!?」
「嘘でしょ?この前、続けていくって言ってなかった?」

私も葉月も動揺が隠しきれない。私たちとしては紗弥加の決断を応援するしかないが、浮気をされてあんな思いをしても「頑張る」と言っていたのに、どんな心境の変化があったのだろう。

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第10話:「そんな男より、俺のところに来てよ」デートの帰り際に2人の男で揺れる女に囁く、狡猾な男

ーあ・・・。ここに理想の人がいた。

次郎の話を聞きながら、私は妙に感動していた。灯台下暗しとはよく言ったもので、幸せは意外に身近なところにあるのかもしれない。そう思いながら、穏やかに食事をしていた時だった。

次郎がお手洗いに立っている間に携帯を見ると、一通のLINEが入っていることに気がつく。見たいけど、見てはいけない。そう思っていながらも、ついそのメッセージを開いてしまう。

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