2017.12.23
アモーレの反乱 Vol.15港区在住。遊びつくした男が、40歳で結婚を決意。
妻には、15歳年下で、世間知らずな箱入り娘を選んだ。なにも知らない彼女を「一流の女性」に育てたい。そんな願望もあった。
誰もが羨むリッチで幸せな結婚生活を送り、夫婦関係もうまくいっていたはず…だったのに。
世間を知り尽くして結婚した男と、世間を知らずに結婚してしまった女。
これは港区で実際に起こった、「立場逆転離婚」の物語。
「アモーレの反乱」一挙に全話おさらい!
第1話:40歳初婚。リッチな夫が厳選したはずの「若く美しい妻」の罠と秘密
「今日は、何か特別な日ですか? それなら、最初のシャンパーニュは店からプレゼントさせてください。ビオでグランクリュのものが入ったんですよ」
という店長の気遣いに「ありがとう」と答えたのは、数時間前。確かに、今夜は特別な、忘れられない夜になることは間違いなかった。
たった今、妻に「離婚」を切り出されたのだから。
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第2話:「あなたは私のこと何も知らない」。結婚4年、夫が初めて見る妻の一面
「利奈が本気なことは分かった。でも、きっと何か誤解がある。ゆっくり話し合おう。これ以上の話は、家に帰ってからにしないか?」
正直、情けないほど動揺していたが、穏やかに、子供を諭すような口調を心掛けた。
相手の心が読めない時こそ、こちらは冷静だと思わせなければ不利になる。それはビジネス上のやりとりでも、僕が気を付けていることだった。
その言葉に利奈が笑った。
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第3話:15歳年下妻の言い分。幸せな結婚生活に突然割り込んできた、夫の昔の恋人
もっと怒鳴り散らしてほしかった。感情をむき出しにして、問いただして欲しかった、なんて思う私はおかしいのかもしれない。
でもそんな感情を夫に対して抱くようになったのも「あの女性」に出会ってしまったから。
私の前に「あの女性」が突如現れたあの日をきっかけに、全ては始まり、変わっていった。
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第4話:妻と一緒に撮った写真。隣にいた妻が、こんな顔をしていたなんて…
家を出て、もう、一週間。ホテルからのタクシー通勤に慣れてきた自分が空しくて、僕はため息をついた。
「別居」という形をとれば、利奈が冷静になり、気が変わるかも知れない。それが希望的憶測に過ぎないことをわかっていながら、妻を問い詰めに家に戻る勇気も持てないまま、一週間が過ぎてしまった。
気が付けば、妻の顔ばかりが浮かんでいた一週間。こんなにも妻のことを考えているなんて、たぶん結婚以来初めてのことだろう。
そして「妻のことばかり」を考えてみて、僕は「2つのこと」に気が付いた。
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第5話:その女は敵か味方か?妻と昔の彼女の思わぬ関係、知らぬは夫だけ
今の僕は、嗅覚も味覚もろくに働いていないようで、もったいない注文をしてしまったことを後悔していた。
いつだったか、親しいソムリエが「精神状態がテイスティングに影響する」と言っていたことを思い出す。
妻が離婚を切り出して以来ずっと不安だったし、気持ちが晴れたことは無かったが、今日初めてそれが怒りに変わった。
数時間前「妻の弁護士」とのやりとり以来、ずっと苛立ちが収まらないのだ。
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第6話:女の敵は女…ばかりじゃない!妻の自立を助ける意外な人物
「昌宏に、私たちのこと話しちゃってごめんね。全部終わるまで内緒にするって約束してたのに。この男本当に何もわかってないんだなあってムカついちゃって思わず」
昨日藍子さんが珍しく慌てた様子で電話してきて、教えてくれた、バーでの夫とのやりとり。動揺したであろう夫の姿が想像できておかしかった。
「いいんです。藍子さんの言葉なら夫にも響いただろうし。私の言葉が響いたことはこの4年間1度もないのに、ってとこが虚しいですけどね」
自虐的に笑った私に、藍子さんの切れ長の目が悲しそうにゆがんだ。
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第7話:妻が語る「夫のあの時の対応で、私は離婚を決意した」
「やっぱりあの時のことが、どうしても許せない?」
藍子さんが、私に言った。「あの時」という言葉に、胸が締め付けられる。その痛みに未だ自分の中の傷口がふさがっていない事に気が付く。もう随分時間も過ぎたというのに。
「あの時のこと」
私が、夫に泣いて訴えたのは、後にも先にも、あの時だけだった。
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第8話:守りたかった夫、認められたかった妻。裕福さが生んだ年の差婚の歪み
妻と別居しておよそ1か月。探偵を雇うことに情けなさと妙な罪悪感はあったが、妻の弁護士を介して来週、妻との話し合いの場が用意されることが決まったのがきっかけになった。
妻の弁護士も同席すると言って譲らないので、ならば「事実」を手に入れて戦おうと思ったのだ。その「事実」次第で自分も弁護士を雇うことを覚悟していたのだが…。
浮気調査のはずだったのに、分刻みの写真つき報告書には僕の予想外どころではない、想像もしなかった妻の「日常」がまとめられていた。
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第9話:「僕の金が必要なくなったのか?」年下妻に捨てられ、夫の本音が爆発
私が成長するための離婚。彼から自立するための離婚。この先一生彼の言う通りには生きられない。そう覚悟し、弁護士さんまで頼んだのに、胸の奥にうずく切なさ、未練のような思いが無くならない。
ほんと矛盾してるな、私。
そんなことを思いながら、シンクを磨き上げたあと、料理教室の鍵を閉め外に出た。冷たい風を感じて、手に持っていたストールを首元に巻きながら歩きだした。すると…
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第10話:「僕を捨てることを許そう」主導権を捨てられない年上夫のプライド
「君が僕から羽ばたいていくということも止めない。君が望むのならもう理由も聞かないよ。」
さっきまで感じていた喜びが、急激に冷めていく。そして、彼が深いため息と共に発した言葉は…。
「君が僕を捨てることを、許そうと思う。…離婚を許すよ。」
―ああ。この人はこんな時までも、最後まで主導権を握ろうとするのか。
目の奥が真っ赤に染まる。気が付けば今度は私が彼につかみかかっていた。
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第11話:欲に惑わされ、理想の妻に仕立てようとした夫の、遅すぎる後悔
僕たち夫婦の最後の夜。先に沈黙を破ったのは僕の方だった。
「利奈が最初に飲んだお茶だな」
「えっ?」
妻の反応に、僕は自分が思ったままを声に出してしまったことに気が付いた。こぼれたお茶を拭く手を止め、怪訝な顔を向ける妻を見ながら、しまった、と思ったがもう遅い。
―言うつもりなんて、なかったのに。
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第12話:離婚を受け入れた夫が敢えて妻に教えなかった、たったひとつの真実
―指輪、どうしたんだろうな。
何もつけられていない左手の薬指。いつもピンクページュに上品に整えられていた爪は短く切り揃えられ、ネイルは塗られていない。
ああ、そうだ、料理教室の先生だからだよな。分かっていながら、自分の知らない変化に寂しくもなる。
黙ったままの妻が、必死に言葉を探しているのが分かる。そのための沈黙だとわかっていても、もどかしくて、辛い。もう一度同じ質問を投げかけようと思った時、妻が口を開いた。
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第13話:「彼は完璧すぎた」。ダメな所を見せない夫ほど、妻を孤独に陥れる
「この後のお酒は、昌宏の分も私が決める。あと…。」
お節介を焼くなんて私らしくないし、夫婦の事情なんて2人にしかわからないのはわかっている。けど…。たぶん私にしか言えないことだから。
「これからちょっとの間、私に話をさせて。あなたが知らない利奈ちゃんのこと。」
昌宏は頷きも拒絶もしなかったが、私は気にせず店員を呼び、アルコールは薄めで、と耳打ちしたあとジントニックを2杯注文し、話し始めた。
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第14話:離婚届を出した妻へ、復縁したい夫が送ったLINEが届かなかったワケ
もう1度叫ぼうとした瞬間、インターフォンが鳴った。後輩に指でOKという合図を出すと、楽しげに踊るサンタ達をかき分けながらモニターの前まで行き、通話ボタンを押した。
「お届けものです。」
まだ何か届くのか?
半ば呆れながら開錠すると、背後でポンっという音が響いた。レアなシャンパンが開きましたー、というハイテンションな後輩の声にまた歓声が上がり、僕も笑った。届け物がなんなのか、知る由もなく…
第14話の続きはこちら
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Vol.16
アモーレの反乱 最終回:別れた夫へ最後の連絡。あえてLINEを使わなかった、妻の決意
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Vol.13
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