アモーレの反乱 Vol.6

アモーレの反乱:女の敵は女…ばかりじゃない!妻の自立を助ける意外な人物

港区在住。遊びつくした男が、40歳で結婚を決意。

妻には、15歳年下で、世間知らずな箱入り娘を選んだ。なにも知らない彼女を「一流の女性」に育てたい。そんな願望もあった。

誰もが羨むリッチで幸せな結婚生活を送り、夫婦関係もうまくいっていたはず…だったのに。

世間を知り尽くして結婚した男と、世間を知らずに結婚してしまった女。

これは港区で実際に起こった、「立場逆転離婚」の物語。

15歳年下の妻・利奈(りな)が離婚を切り出し、夫・昌宏(まさひろ)が家を出てホテル暮らしになり1週間が過ぎた。その頃妻は、着々と離婚への準備を進めていた。


白い革張りのソファーに座り、跪く男に優雅に足を差し出す、美しい人。

女王様みたい。

東京ミッドタウン『ISETAN SALONE』の靴売り場。テキパキと店員に指示を出し、何足もの靴を試着していく藍子さんに、私はしばし見とれていた。

跪かれるのが似合う女性って、すごいな。

そんなことを思っていると藍子さんが立ち上がり、歩きながら私の方に振り返った。

「利奈ちゃん、どっちが良いと思う?」

鏡の前に立つ藍子さんの右足には、サテン生地のマノロ・ブラニク。左足には、スウェードのセルジオ・ロッシ。どちらも濃紺で10cm程のピンヒール。私は少し迷って右足を指さした。

「やっぱりそうよね。決めた。マノロにするわ」

店員にクレジットカードを渡すと、藍子さんはもう1度ソファーに座り、私にも隣に座るよう促した。

「そういえば利奈ちゃん、私のせいでルブタンが嫌いになったんだっけ?」

茶化すような口調で藍子さんが笑う。

「その話、いい加減もう忘れてもらえません?恥ずかしいから」

私も笑いながら返し、人生とはつくづく不思議で予測できないものだと思う。藍子さんと親しくなるなんて思いもよらなかった2年前のあの日

あの時、この魅力的な年上女性の真っ赤なソールを恐れたのは、自分に自信が無く幼かったから。あの恐怖と嫌悪感が、あの頃の私の弱さとコンプレックスから生まれていたことが、今ならよくわかる。

この2年間で、私はそれを学んできた。

「急に誘ったのに付き合ってくれてありがとね。あと…」

藍子さんがこの後何を言うのか、聞かずとも分かった。

「昌宏に、私たちのこと話しちゃってごめんね。全部終わるまで内緒にするって約束してたのに。この男本当に何もわかってないんだなあってムカついちゃって思わず」

昨日藍子さんが珍しく慌てた様子で電話してきて、教えてくれた、バーでの夫とのやりとり。動揺したであろう夫の姿が想像できておかしかった。

「いいんです。藍子さんの言葉なら夫にも響いただろうし。私の言葉が響いたことはこの4年間1度もないのに、ってとこが虚しいですけどね」

自虐的に笑った私に、藍子さんの切れ長の目が悲しそうにゆがんだ。

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