アモーレの反乱 Vol.11

アモーレの反乱:欲に惑わされ、理想の妻に仕立てようとした夫の、遅すぎる後悔

港区在住。遊びつくした男が、40歳で結婚を決意。

妻には、15歳年下で、世間知らずな箱入り娘を選んだ。

4年後、妻が何の前触れもなく離婚を切り出す。しかも、思いもよらぬ「離婚条件」を提示して。

世間を知り尽くして結婚した男と、世間を知らずに結婚してしまった女。

これは港区で実際に起こった、「立場逆転離婚」の物語。

15歳年下の妻・利奈(りな)に突然離婚を切り出された夫・昌宏(まさひろ)。別居後、最初で最後の話し合いをすることに。昌宏が離婚を認めると、利奈が激昂してしまった。


僕たち夫婦の最後の夜。先に沈黙を破ったのは僕の方だった。

「利奈が最初に飲んだお茶だな」

「えっ?」

妻の反応に、僕は自分が思ったままを声に出してしまったことに気が付いた。

こぼれたお茶を拭く手を止め、怪訝な顔を向ける妻を見ながら、しまった、と思ったがもう遅い。

―言うつもりなんて、なかったのに。

僕を見つめる彼女は、明らかに次の言葉を待っている。

今夜は…今夜だけは。彼女をごまかしてはいけないことぐらい、もう僕にもわかっている。

覚悟を決めて口を開いた。

「あの時。僕たちのとこから子どもがいなくなった時…」

そこまで一気に言い切って、彼女の表情を伺う。

さっき…僕が離婚することに同意すると、怒って泣きじゃくった妻。

彼女が僕の前で我を忘れて泣いたのは、結婚して2度目。それはいやおう無しに1度目の辛い記憶を蘇らせる。

あの時「子どもがいなくなった」ショックから、妻はほとんど食事もとらなくなり、ベッドから起き上がれなくなった。

だからこそ、もう2度と思い出させたくなくて、彼女に忘れるよう諭し、僕は意図的にこの話題を避けてきたけれど。

―どうかこれ以上、彼女の傷が深くなりませんように。

そう祈りながら、僕は次の言葉を慎重に口に出す。

「利奈が離婚を決めたのも、あの時なんだとしたら…」

「私が最初に飲んだお茶、ってどういう意味ですか?」

質問を続けようとした僕の言葉を、利奈が質問で遮った。僕の話の途中で割り込んでくるなんて、こんなことは珍しい。彼女は少し興奮しているようにも見えた。

その勢いに押されるように、僕はまず、彼女の質問に答えることにした。

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