アモーレの反乱 Vol.13

アモーレの反乱:「彼は完璧すぎた」。ダメな所を見せない夫ほど、妻を孤独に陥れる

港区在住。遊びつくした男が、40歳で結婚を決意。

妻には、15歳年下で、世間知らずな箱入り娘を選んだ。

なにも知らない彼女を「一流の女性」に育てたい。そんな願望もあった。

誰もが羨むリッチで幸せな結婚生活を送り、夫婦関係もうまくいっていたはず…だったのに。

これは港区で実際に起こった、「立場逆転離婚」の物語。

15歳年下の妻・利奈(りな)に突然離婚を切り出された夫・昌宏(まさひろ)。別居後最初で最後の話し合いをし、お互いの本心を知る。しかしお互いの望む未来が違ってしまったことに妻が気づき、離婚を決め、妻は離婚届を持って家を出た。


「昌宏、もう今日は帰らない?」

私、坂巻藍子は、明らかに飲みすぎている連れの男性が、次のオーダーを入れようとしたことに驚き、一応止めてみる。

―たぶん、言うことを聞きはしないだろうけど。

「藍子、明日休みなんだろ?もう少し付き合えよ。えっと、ワインリスト…。」

予想通りの返事に、明日が休みだと伝えてしまったことを後悔しながら、気づかれぬよう溜息をついて、彼からワインリストを奪って言った。

「ボトルはもうだめ。グラスにするか、カクテルにして。」

少しでも酒量を減らそうとする私に、なんだよ、とブツブツ言いながらメニューに目を戻した男性は、私の昔の恋人・昌宏。つい最近離婚したばかりだ。

おそらく酔いたくて飲んでいるはずだが、元々アルコールに強い彼は、酔いきれていない。なのに酔いが回ったふりで陽気にふるまう彼が、そろそろ本気で痛々しい。

仕事の話で私を呼び出したはずなのに、結局別れた妻・利奈の話ばかりしていることを、流石に自覚させたほうがいいのではないか。そう思い、多分、彼が最も言われたくない事を言うことにした。

「そんなに未練があるんだったら、やり直したいって言えばいいだけじゃない?…利奈ちゃんに。」

メニューを見ていた昌宏の表情が固まったが、返事はない。

―まだまだ長い夜になりそうだな。

私は昌宏の手からメニューを奪う。そして言った。

「この後のお酒は、昌宏の分も私が決める。あと…。」

お節介を焼くなんて私らしくないし、夫婦の事情なんて2人にしかわからないのはわかっている。けど…。

たぶん私にしか言えないことだから。

「これからちょっとの間、私に話をさせて。あなたが知らない利奈ちゃんのこと。」

昌宏は頷きも拒絶もしなかったが、私は気にせず店員を呼び、アルコールは薄めで、と耳打ちしたあとジントニックを2杯注文し、話し始めた。

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