恋するマザー Vol.9

「私さっきまで、男の人と二人で…」。妻が罪悪感を抱いた、夫と子どもに起こった想定外の事態

いつまで経っても、女は女でいたいー。

それは、何歳になっても、子どもができてママになっても、ほとんどの女性の中に眠る願望なのではないだろうか。

いつまでも若々しくいたいという願いや、おしゃれへの欲求、それに少しのときめき。自由やキャリアへの未練。

そんな想いを心の奥底に秘めながら、ママとなった女たちは、「母親はこうあるべき」という世間からの理想や抑圧と闘っているのだ。


◆これまでのあらすじ

専業主婦の翔子(34)は、同僚たちとの再会をきっかけに、仕事をスタートする。

やりがいのある仕事理解のある家族の中で、自分は満たされているはず。そう自分に言い聞かせるが…。


「今日は、旦那さんと航太くんは二人でお出かけ?」

シャンパングラスで乾杯するや否や、千尋は翔子のことを気に掛ける。

子供を圭一に任せた休日、翔子は同僚たちと、表参道ヒルズの『フラテリパラディソ』で食事を楽しんでいた。メンバーは、社長の千尋、彼女の元夫・明彦、そして千尋の姪でもある舞花だ。

「はい。サッカーやってテレビゲームやって、いつものコースだと思います。ご飯は、2人でファストフードかな。お弁当作るって言ったら航太に断られちゃいました」

翔子がそう答えると、明彦は楽しそうに笑顔を見せた。

「航太くんの気持ちなんとなくわかるな。男同士で食べるハンバーガーにポテトは最高だ」

千尋がそれを「母親としてはショックよ」と、軽い調子でたしなめる。

翔子も二人に合わせて自虐的に苦笑いをしたが、にこりともしない舞花の鋭い視線が気になっていた。

「母親は小洒落たレストランでディナーして、旦那さんとお子さんはファストフードですか」

舞花が言ったことは事実なのだが、悪意がたっぷり込められているのがわかった。

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