最後の恋 Vol.13

2019年ヒット小説総集編:「最後の恋」

人はいつだって、恋できる。

だが振り返ったときにふと思うのだ。

あのときの身を焦がすような激しい感情を味わうことは、もうないのかもしれない。あれが「最後の恋」だったのかもしれない、と。

それは人生最高の恋だったかもしれないし、思い出したくもない最低な恋だったかもしれない。

あなたは「最後の恋」を、すでに経験しているだろうか…?

この連載では、東京に住む男女の「最後の恋」を、東京カレンダーで小説を描くライター陣が1話読み切りでお送りする―。


2019年は、本当にありがとうございました。2019年ヒット小説総集編、「最後の恋」一挙に全話おさらい!

第1話:「美人じゃないのに大好きだった…」エリート外銀男がずっと忘れられない、35歳の元カノ

―あれ、由梨子さん…?

12月も終盤に差し掛かった、ある週末。

広尾の日赤通りを車で走っていると、真っ赤なスカートを履いている女性に目がいった。

髪は栗色のくせ毛で色素が薄く、足早で駅に向かう彼女の吐く息は白い。その姿にすっかり目を奪われていたら、青信号に気づかず後ろからブッとクラクションを鳴らされ慌ててアクセルを踏んだ。

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第2話:20日間、姿を消した夫。“昔好きだった男”に心奪われた妻へ、非情な制裁が下された夜

時が経ってしまえば、愛を誓い合った二人の関係は形を変え、ともに人生を歩む同志のような存在になる。夫婦とは、そういうものだ。

そう信じていたから、私は進次郎との夫婦生活に、心から満足していたはずだった。

それなのにどうして私は、あの時、過ちを犯しかけたのか。5年経った今、心の底から後悔している。

あの日、あの場所にさえ行かなければ、きっとこんな風に、取り返しのつかない結果を招くことはなかったのに。

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第3話:恋愛に依存する女の悲劇。5年前の旅行で出会った男との恋に、溺れてしまった理由

「君が僕にとって、最後の恋の相手だ。」

進次郎が私にそう言った時、ジャカルタのパンタラ島はちょうど真っ赤な夕日が海に沈むところだった。

私はただ、その言葉が嬉しくて、返事をする代わりにそっと唇を重ねた。

胸の奥がくすぐったくなるような、恋だった。

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第4話:「普通レベル」のくせに…。あの子が、美女を渡り歩いたモテ男から“最後の女”に選ばれたワケ

去っていくミホさんのほっそりした後ろ姿を見送る。なんてキレイな形の脚。

ミホさんは美しいひとだ。花に例えるなら月下美人。月明かりを浴びて一夜だけ咲く花のような、危うい美しさがある。

私はたぶん、ガーベラあたりかな。そこそこ美しく、お手入れが簡単で長持ちして、手に入りやすい花。

だけど…。モテ男、蓮見一樹が最後に選んだのは、ガーベラでしたとさ。

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第5話:「1番好きな人とは、結婚できなかった」世間体に惑わされ自分の気持ちを無視した女の、悲しい習慣

結婚したからといって、自分に自信が持てるわけではない。誰かからプロポーズされたから、一生一緒にいようねとお願いされたから、人間としての価値が上がるわけではないのだ。

妹の話を聞くフリをしながら、夫・悠人と結婚する前に最後に心を大きく動かされたあの人のことを思い出す。

ーもしも今の相手ではなくて、「あの人」と結婚していたら?

「あの人」とは、悟…。私のたしかな、最後の恋の相手。

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第6話:「彼との子供が欲しい...」1年だけと期限を決めた恋。全てを失っても欲しかった、愛した男の遺伝子

悟と出会ったのは、実は3年前のことだった。当時私には彼がおり、悟のことなんて全く眼中になかった。しかし去年別れて以来、“誰かいないかなぁ”と思っていた時にふと思い出し、連絡をしたのだった。

再会してから話はトントン拍子に進み、私の左手の薬指には1.2カラットのダイヤモンドが光る婚約指輪が収まっている。

その手で、ほんの少しだけ膨らんできたお腹をさする。

妊娠して、もうすぐ4ヶ月目に入る。結婚願望が全くなかった悟だが、妊娠を機に籍を入れることになったのだ。

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第7話:愛欲に溺れる人気絶頂バツイチ俳優を、15年間支えた挙句に捨てられた女。彼女の知らぬ男同士の密約とは

はじめは大勢いるイケメンアイドル俳優。でもまずはドラマのプロデューサーが、やがて視聴者が、そして著名な映画監督までもが、彼が稀有な俳優であることに気が付いていく。

タケルの時代が、来ようとしていた。

長年の友人として、第一マネージャーとして、「明日」が勝負だと、自分に言い聞かせる。

明日、タケルの、そして私の運命が変わるかもしれない。

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第8話:婚約中、12年ぶりの同窓会に行った男。36歳になった初恋相手が明かす、卒業アルバムに仕掛けられた秘密

婚約者である蓮子は芸能事務所に勤めており、つい最近、長年希望していた舞台制作部への異動を叶えたばかり。

着任も早々に、年末に予定されている大型公演の準備のため、全国の劇場を飛び回っている。

来月には入籍予定ではあるものの、互いに多忙を極める毎日だ。結婚式の予定もなかなか立てられず、友人にもろくに報告もできていない。

そのため、今日タイミングよく行われる高校の同窓会で、結婚報告をしようと決めていたのだ。

第8話の続きはこちら

第9話:結婚10年目、冷めきった夫婦関係に爆発寸前の妻。ジムで出会ったバツイチ男の誘惑で呼び起こされた恋心

昨晩スポーツバーで、元生徒の隆太郎くんと交わした会話を思い出す。

「最後の恋は、じっくり時間をかけて温めていくものなのよ」

なんて偉そうに…どの口が言うのか。私の教師としての外面の良さには、我ながら脱帽だ。

本当は、人の恋愛相談に乗る資格なんて私にはない。私自身の“最後の恋”は、この通りすっかり冷めてしまったんだから。

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第10話:「俺…離婚した」真夜中の報告に心揺れる人妻。淋しさから近づく男女が、最後の恋に堕ちた夜

まさか、瑞子さんが新田の誘いに乗るなんて。

高校教師をしているという瑞子さんは、品行方正を絵に描いたような女性だ。服装もヘアスタイルも華美なものは好まず、モノトーンかアースカラーの装いしか見たことがない。

でも、と私は心の中でひとり納得をする。瑞子さんみたいな、男遊びと無縁そうに見える女ほど、裏じゃ実は…ってことも多いのよね。私なら、新田の誘いになんて絶対に乗らない。私は浮気なんて絶対に…。

そこまで考えて、ふとトレーニングマシンを引く手が止まった。

第10話の続きはこちら

第11話:既婚男の嘘を鵜呑みにし、騙され続けた女。3年かけて気づいた“生涯最後の恋”と出会う方法

「あ、すみません 水川さん。お先にどうぞ」

ドアを開けて先に入るように促す。俺より20cmは低いであろう身長の水川さんは、眼鏡越しから僕を見上げた。そして冷たい目でニコリともせず、ありがとうございます、と小さく呟き中に入った。

彼女は4年前に転職してきた人で、噂によれば僕より2つ年上のはず。だけどずっと、敬語のまま。いや、僕にだけというわけではなく彼女が社内のだれかと打ち解けているのを見たことがない。

―相変わらず可愛げねーな。愛想笑いくらい、出し惜しみするなよ。

第11話の続きはこちら

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