人はいつだって、恋できる。
だが振り返ったときにふと思うのだ。
あのときの身を焦がすような激しい感情を味わうことは、もうないのかもしれない。あれが「最後の恋」だったのかもしれない、と。
それは人生最高の恋だったかもしれないし、思い出したくもない最低な恋だったかもしれない。
あなたは「最後の恋」を、すでに経験しているだろうか…?
この連載では、東京に住む男女の「最後の恋」を、東京カレンダーで小説を描くライター陣が1話読み切りでお送りする―。
先週は、外銀男・悠の話を紹介した。
今回は、そんな悠を捨てた由梨子の、その後の物語。
「由梨子ちゃんのこと、あの頃本当は、好きだったんだよ」
“彼”からそう耳打ちされたとき、今まで知らなかった感覚が私の全身を駆け巡った。心臓がトクトクと脈打ち始め、全身に熱い血が一気に流れ出す。そんな不思議な感覚だったー。
◆
それは、今から5年前。
当時37歳......
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この記事へのコメント
朝から引き込まれました。
次回のミホの気持ちが気になる。本気なのかな?