人はいつだって、恋できる。
だが振り返ったときにふと思うのだ。
あのときの身を焦がすような激しい感情を味わうことは、もうないのかもしれない。あれが「最後の恋」だったのかもしれない、と。
それは人生最高の恋だったかもしれないし、思い出したくもない最低な恋だったかもしれない。
あなたは「最後の恋」を、すでに経験しているだろうか…?
この連載では、東京に住む男女の「最後の恋」を、東京カレンダーで小説を描くライター陣が1話読み切りでお送りする―。
前回は、既婚者・由梨子の話を紹介した。
今回は、由梨子の夫が、妻を捨ててまで手に入れようとしたミホの物語。
2014.1.14 ジャカルタ・パンタラ島
「君が僕にとって、最後の恋の相手だ。」
進次郎が私にそう言った時、ジャカルタのパンタラ島はちょうど真っ赤な夕日が海に沈むところだった。
私はただ、その言葉が嬉しくて、返事をする代わりにそっと唇を重ねた。
胸の奥がくすぐったくなるような、恋だった。
◆
失......
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