人はいつだって、恋できる。だが振り返ったときにふと思うのだ。
あのときの身を焦がすような激しい感情を味わうことは、きっともうない。あれが「最後の恋」だったのだ、と。
それは人生最高の恋だったかもしれないし、思い出したくもない最低な恋だったかもしれない。
あなたは「最後の恋」を、すでに経験しているだろうか…?
この連載では、東京に住む男女の「最後の恋」を、東京カレンダーで小説を描くライター陣が1話読み切りでお送りする―。
今週の主人公は、35歳・結婚10年目の菜々子。
菜々子は、瑞子と同じスポーツジムに通っており、彼女がプレイボーイ・新田と並んでジムを出て行く姿を、少し離れた場所から眺めていた。
菜々子:「私は絶対に、浮気なんてしない」
「どこに連れて行こうかな」
周囲の視線も気にせず浮かれた様子の新田。そしてその隣で身を隠すようにして歩く瑞子さんを、私は好奇の眼差しで追いかけた。
まさか、瑞子さんが新田の誘いに乗るなんて。
高校教師をしているという瑞子さんは、品行方正を絵に描いたような女性だ。服装......
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この記事へのコメント
夫や妻には言えないのには変わりないが
寝たか、寝ないか、だけの差で
キレイな切ない思い出か、汚れた浮気・不倫になるか
大きさ違いになる
プラトニックな関係の恋愛ほど、思い出として美化されてるのはわかってても大切なものになってる。
きっと付き合ってたらダメになってたんだろうって。