2019.03.29
略奪愛 Vol.20人のものを奪ってはいけない。誰かを傷つけてはいけない。
そんなことは、もちろんわかっている。
しかし惹かれ合ってしまったら、愛してしまったら、もう後戻りなんてできない−。
三好明日香(みよし・あすか)は渋谷のWEBメディアで働く24歳。
健全に恋愛を重ねていた明日香だったが、その小さな心の隙に、ある男の存在が入り込む。
大谷亮(おおたに・りょう)、34歳。
図らずも惹かれ合う、二人の男女。その想いは“純愛”か、それとも…?
「略奪愛」一挙に全話おさらい!
第1話:「好きになってしまいそう...」彼氏のいる女が本能で惹かれた、年上男の魅力とは
そもそも私は、惚れっぽいタイプではない。ドラマや漫画に出てくるような身を焦がすほどの恋に憧れはあっても「現実にはありえない」と、どこか冷めた視線を送ってしまう側の女なのだ。
…だから、思いもしていなかった。
まさか自分が、理性を超えた激情に流されてしまうなんて。“道ならぬ恋”に、溺れてしまうだなんて。
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第2話:社内で交わす秘密のアイコンタクト。惹かれ合う男女が、上司と部下の関係を越えるまで
私の勤めるWEBメディアは社員100名弱がワンフロアで働いていて、そのほとんどが20代〜30代という若い会社。
それゆえ社内では色恋沙汰も含め、日頃から様々なゴシップが飛び交っているのだ。
「なんか、意外だな」
少し前に起きた、営業部VS企画部の熱血バトルの顛末を笑いながら話していると、大谷がふいに小さく呟いた。
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第3話:ダメだとわかっていても...。ホテルのエレベーターで、上司と部下が“男と女”になった瞬間
「…あ、昭人。私、明日から大阪出張だからね」
そろそろ電話を切ろうかというタイミングで、私はさりげなく念押しをした。
「今度、大阪出張がある」ということについては、すでに昭人にも話してある。ただ何かの話のついでにさらりと告げただけで、その詳細はまだ何も知らせていなかった。
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第4話:突然のキスで始まる禁断の愛...。恋に浮かれる女を絶望に突き落とす、男が隠していた事実とは
−私…今、キスされた!?
カードキーを差し込むことすら忘れ、真っ暗なままのホテルの部屋で、私は一人そっと唇に手を当てた。
間違いない。だって…柔らかな感触がまだ唇に残っている。
あまりにも突然で、その前後のことは何も覚えていない。しかし唇を重ねていた数秒間の高揚だけは、まるでスローモーションのように心に焼き付いていた。
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第5話:「もう彼とは無理…」別の男に心奪われた女が受けた、残酷な罰とは
−大谷さん、結婚してたよ−
事実を知らせてくれた徹の言葉が蘇り、私の胸は再びズキズキと痛んだ。そしてその後で、今度は「どうして」という疑問が湧いてくる。
どうして。結婚しているなら、どうして私にキスなんかしたの…?
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第6話:「好きになった人が結婚していただけ」危険な男と夜をともにした女が、略奪愛を心に決めるまで
私は一体、ここで何をしているの。目前に差し出された、鮮やかな赤いカクテル。その向こうで煌めく東京の夜景をぼんやり眺めながら、私は繰り返し自問自答した。
−大谷さんのこと、好きになりたくないのに−
不意に腕を掴まれ、堪えきれず本音を口にしてしまったのはつい先ほどのこと。
私の言葉を大谷がどう受け取ったのかはわからない。ただ、何かを確かめるようにまっすぐ向けられた眼差しから、私は目を逸らすことができなかった。
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第7話:「奥さんと離婚して」略奪愛を決意した女の恐ろしい言葉...覚悟を決めた男が告げた、意外な本音とは
「なんか、子どもの夜ごはんみたいになっちゃったね…私、実はそんなに料理得意じゃなくて」
急に恥ずかしくなり、私は下を向く。最近は昭人に手料理をふるまう機会も滅多になく、仕事で夜遅いこともあってほとんど自炊していない。慣れていないゆえ、凝った料理には手を出せなかった。
「いや、違うよ。なんかこういう一人暮らしの部屋とか、カラフルな食器とか、そういうのすべてが懐かしいなって」
そう続けた大谷はどこか楽しそうだったが、私の胸はざわざわと音を立てた。
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第8話:「別の男といるんだろ!?」嫉妬に狂い豹変した彼と、愛欲に溺れた女の修羅場
深夜、突如として来客を知らせるベルが鳴り、私は反射的に背筋を凍らせた。時刻は23時を回っており、宅配便の配達時間ならとうに過ぎている。
−誰…?
バクバクと音を立てる心臓を抑えながら、私は「まさか」と頭をよぎる考えを必死で打ち消した。
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第9話:「彼が狂ってくれて、幸せだった」。略奪愛を確信した女が知ってしまった、愛する男の嘘
「俺と、一緒に暮らそう」
まさか…大谷からそんなことを言ってもらえるなんて、夢にも思っていなかった。
しかし彼は言葉どおり、すぐさま目黒で即入居が可能な2LDKのマンションを契約。またあの夜のようなことがあっては困るからと急かされ、私と大谷はバタバタと引越しを完了させたのだった。
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第10話:全社メールで暴かれた、上司と部下の略奪愛。窮地に追い込まれた女が下した決断とは
愛する人が毎日必ず自分の元へ帰ってくる。毎晩必ず、抱き合って眠れる。
その安心感がもたらす幸福はかつて経験したことがないほどで、私は朝に晩に、この日々が永遠に続くことを願った。
だが穏やかな幸せを感じられたのはほんの一瞬で、私のささやかな願いはあっけなく砕け散ることとなるのだった。
しかも…まるで予想もしていなかった、最悪の形で。
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第11話:「あなたに、夫は渡しません」略奪愛を企む女に突きつけられた、正妻からの宣戦布告
− 三好明日香、年内で会社辞めるらしいよ −
その事実を聞いたときは、さすがの私も胸が痛んだ。別に彼女を辞めさせるつもりなんてなかったから。
しかし、のしかかる罪悪感を私はすぐに払いのけた。卑怯な手を使ったことは認める。だがそもそも咎められるようなことをしているのは彼女の方だ。退職に追い込まれたとしても、元々は自分が蒔いた種なのだ。
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第12話:略奪女を撃退した妻の、大きな誤算。慌てる夫が謝罪の代わりに口にした、予想外の言葉
リビングの中央で立ち止まってしまった私を、亮が怪訝な表情で振り返る。しかしその目までもどこか他人行儀に感じ、私は妙な焦りを覚えた。
−何かがおかしい。
留守にしている間に彼が変わった気がする。いや、誰かに変えられた…?
そしてこの嫌な胸騒ぎの真相を、私はまったく予想もしていなかった人物から知らされることになる。
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第13話:「離婚するなら…条件があります」略奪愛に溺れる夫に、妻が突きつけた残酷な選択
「私と別れて…あの女のところに行くわけ」
馬鹿げている。狂っている。嘲笑いながら言ってやりたかったのに、声は掠れ、まるで恨み節のように聞こえてしまったのが悔しい。
「違うんだ」と、亮は慌てて否定した。
「明日香が...彼女のことがきっかけになったことは認める。でもそれが原因かというと違うんだ。離婚についてはもう随分前から考えていたことで」
「そんなの言い訳だわ!」
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第14話:「私を1番にして」。妻の元へ帰ってしまった男を取り戻すため、略奪女が試みた"賭け"とは
「あなたのこと、信じて待ってる。だけどそれは…3ヶ月。3ヶ月だけは連絡もしないし、会えなくても我慢する」
言いながら、まるで自分じゃないみたいだと思った。自分がこんな強いセリフを言えるなんて知らなかった。
「3ヶ月後、絶対にまた会うって約束して。それで、その時には必ず…私を1番にしてください」
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第15話:「離婚する」と言った彼を信じてたのに...。略奪女が知ってしまった、男の密かな計画とは
大恋愛と言えるような情熱的なものではなかったし、両親との関係性や周囲の評価など打算も大いにあった。だがそうだったとしても、亮のことが好きだから結婚したのだ。
ただ実際のところ、私は亮がいなくても生きていける。それゆえ自分の人生を優先し、彼と愛を育む努力を多少…怠ったかもしれない。
だがいくらだってやり直すことはできたはずだ。あの女さえ、現れなければ。
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第16話:「夫の遊び相手は、あなただけじゃない」。妻からの電話で、略奪女が決めた覚悟とは
スマホ画面を見て、大谷の妻からだとすぐにわかった。前にかかってきた際、念のため番号を登録しておいたのだ。
一瞬だけ、出るのを躊躇った。しかし結局応答したのは、妻の後ろに大谷がいるかもしれないと思ったから。大谷との接点を失った今、妻からの電話さえ彼へ繋がる糸に思えた。
だがそんな風に思った私は、やはり甘かった。
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第17話:妻を欺き、略奪愛を誓う男女。2人がホテルで交わした秘密の約束とは
「色々あったけど、別に私は大丈夫」
笑顔でそう言い切った私に、大谷も和やかに笑う。二人の間に流れる空気は、互いを想い合う気持ちは、最初から変わっていない…いや、むしろ強くなっている。そう思った。
「明日香に触れたくてたまらなかった」
彼の腿の上で握られた手を、私はぎゅっと握り返した。再び会ってわかった。私はやっぱり、彼と離れることなどできない。
第17話の続きはこちら
第18話:「私の夫を返して…!」略奪愛を誓う男女が暮らすマンションで、妻が目にした残酷な光景
「大谷さん。一つ…これだけは、はっきりさせておきたいの」
料理出しを終えたスタッフが首尾よく部屋を出て行く。その絶妙なタイミングで、母は唐突に本題を切り出した。
ハッとして顔を上げるが、母と目は合わない。母はまっすぐに大谷を見つめ、その些細な変化も見逃すまいとしているようだった。
「大谷さん、結婚していらっしゃるのでしょう?それでも明日香と一緒に暮らしているというのは…この先、どうなさるつもりなのか。聞かせていただけますか」
第18話の続きはこちら
第19話:「離婚してもいい。その代わり…」略奪愛をついに認めた妻が、最後に出した交換条件とは
大谷が、母親の前で私を愛していると誓ってくれたこと。そして少なくとも母親だけは自分たちを認めてくれたこと。
その二つが大きな自信になっていた。そんなある日のお昼休み。
“会って話したいことがあるの”
ランチに向かいながらスマホを確認すると、意外な人物からLINEが届いていた。
第19話の続きはこちら
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