略奪愛 Vol.3

ダメだとわかっていても...。ホテルのエレベーターで、上司と部下が“男と女”になった瞬間

人のものを奪ってはいけない。誰かを傷つけてはいけない。

そんなことは、もちろんわかっている。

しかし惹かれ合ってしまったら、愛してしまったら、もう後戻りなんてできない−。

渋谷のWEBメディアで働く三好明日香(24歳)には、学生時代から続く彼氏・昭人がいた。しかし小さな心の隙に、ある男の存在が入り込む。

ヘッドハンティングでやってきた新しい上司、大谷亮(おおたに・りょう)

次第に距離を縮めていくふたりは、二泊三日の大阪出張に出かけることになった。


男の勘


「…あ、昭人。私、明日から大阪出張だからね」

そろそろ電話を切ろうかというタイミングで、私はさりげなく念押しをした。

「今度、大阪出張がある」ということについては、すでに昭人にも話してある。ただ何かの話のついでにさらりと告げただけで、その詳細はまだ何も知らせていなかった。

「大阪…?」

案の定、昭人は私の話を聞き流していたらしい。

初めて聞いたような反応をするものだから、私は大げさに呆れた声を出し、前に一度話してあることを強調した。

「ほら、この前話したじゃない。大阪で、新卒採用の会社説明会を開催するの」

昭人が「ああ」と小さく呟くのを聞いて、私はホッと胸をなでおろす。

しかし次の瞬間、私は思わずヒヤリとしてしまった。

「それって、誰と行くんだっけ」
「え?」

意外にも、昭人が詳細を聞きたがったのだ。彼は普段、仕事の話なんて一切深掘りしてこないのに…。

「誰って、同じチームの長瀬くんと…、マネージャーの大谷さん」

事実を告げているだけなのに、「大谷さん」と言った時だけなぜか鼓動が早まった。

微かに、早口にもなった。

とはいえ昭人は、そんな些細な変化に気づくほど勘のいい男じゃない。少なくとも私は、彼のことをそう思っていた。

だからそのあと昭人が続けた言葉も、何の気なしに聞き流してしまったのだ。

「あんまりお酒飲むなよ。夜に、必ず電話して」

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