熾烈を極める東京婚活市場。
その中で「結婚したいのに結婚できない」と嘆く女には、いくつかの共通点がある。
ある行動により自分の市場価値を無駄に下げる女、逆に実態なく価値を上げ過ぎて機会損失している女……。
貴方も、自分でも気づかぬうちに「結婚できない女」となっていないだろうか?
東京に生息する「結婚できない女」の具体的な事例を覗いてみよう。
24時に届いた、男からの誘い。
「亜季ちゃん、今どこにいる?」
金曜の夜。力尽き果て横たわったベッドの上。
仰向けになり睡魔に引き込まれていく途中で、亜季はある男からの誘いを受け取った。
恵比寿駅から徒歩10分の自宅。青山のPR会社に勤める職場の仲良し同期3人組(全員独身)と、いつも通り飲んでカラオケして、さっき帰宅したところだった。
スマホ画面上部の表示は、23:46。
差出人は、3週間ほど前に合コンで知り合った商社マン、祐也だ。
会の中盤、仕事らしき電話に出る様子で一度席を立った後、「俺、ここ座ってもいい?」そう言ってさりげなく亜季の隣に座った男。
彼はあからさまに亜季を口説いたりはしなかった。ただ笑いが起こるたびに亜季を振り返って目を合わせてくる。時々、ごく自然なそぶりで腿に手を置いたりもする。
その笑顔が、しぐさがあまりに無邪気で、無防備で、気になった。
彼のルックスは特別好みじゃない。亜季は背が高い男性が好きだが祐也は小さめだ。
それでもつい心を許したくなってしまう、ずるい男だった。
それはつまり、遊び慣れている、ということなのだけれど。
1Kの小さな部屋は、買うだけ買って読んでいない雑誌や、今朝悩んでやめたニットやバッグが出しっぱなしになっている。
週末の予定は、この部屋を片付けて、洗濯して。また暇な女友達とランチして、買い物して…それだけ。
今から出かけるなんて正直面倒だ。祐也の下心も、透けて見えている。
しかしいったい何のために13万の家賃を払って恵比寿に住んでいるのか。
それは、いつだって出動可能なエビージョでいるために他ならない。
「…よし、出動だ。」
わずかに残る気力を振り絞るよう声に出し、亜季はクローゼットから胸元がVに空いたニットワンピースを取り出した。
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