恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.14

暴走する、美しき人妻への愛欲。制御不能に陥った男が思わず口にした、不実な言葉

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

商社マンらしくモテ男人生を送る一条廉は、27歳で3歳年上の美月と結婚。シンガポールで新婚生活をスタートさせる。

しかしその心には、特別な思いを抱く大学時代の同級生・里奈がいた。

腐れ縁のように少しずつ距離を縮めていくふたり。そんな中、大学サークルの集まりで再会した二人は密かに会場を抜け出し、ついに一線を超えてしまう

禁断の恋に溺れる夫の不貞を確信した本妻・美月は、意外にも廉に別居を申し出る。その真意とは?


美月の思惑


−私、シンガポールには戻りません−

そう宣言した時の、廉の、あの表情。

まさか私から別居を言い渡されるなんて、思ってもみなかったのだろう。

私を裏切ったのは廉自身のはずなのに、「それは嫌だ」と顔中に書いてあった。…本当に、勝手な男。

けれどそう分かっていても、身勝手と優しさを操る男に惹かれるのが女の性というものだ。そしてそんな男だからこそ、廉は私を妻に選んだ。

我が家はシンガポールでもお手伝いは雇わず、家事の一切を私がやっている。

物価の高いシンガポールで上手に食材を探し、接待や外食の多い廉がホッとできるような和食を用意することも、家では意外に神経質な彼の好む日用品を欠かさず揃えておくのも、私だからできること。

廉が私を手放したくないのは、おそらくそういう現実的な理由だ。

しかし男女を永く結びつけるものは、純愛なんかじゃない。ましてや非日常の高揚に浮かれ不貞を重ねる、薄汚い欲情でもない。

結婚は現実で、生活なのだから。

だけど廉、心配しなくても大丈夫よ。

私は離婚なんてしない。

私が日本に残るのは、廉を苦しめたいわけでも責めたいわけでもない。

…ただ、“やるべきこと”が残っているだけだから。

【恋と友情のあいだで~廉 Ver.~】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo