恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.13

「僕に、責任は取れない」人妻に手を出した男の本音。彼を恐怖に突き落とす、最悪のシナリオとは

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

商社マンらしくモテ男人生を送る一条廉は、27歳で3歳年上の美月と結婚。シンガポールで新婚生活をスタートさせる。

しかしその心には、特別な思いを抱く大学時代の同級生・里奈がいた。

少しずつ距離を縮めていくふたり。そんな中、大学サークルの10周年パーティーに出席した廉は、里奈からの誘いで密かに会場を抜け出し、ついに一線を超えてしまう

禁断の恋に溺れるふたりに、ついに本妻・美月の反撃が始まった


罪悪感と、欲望と


“そろそろ廉に会いたくなっちゃったな”

時間を確認しようとベッドサイドのスマホを気だるく手に取った僕は、美月から届いたメッセージに思わず身体を震わせた。

里奈とリッツの部屋で落ち合ってからというもの、僕は美月のことを一度も思い出していなかった。

里奈と過ごす時間はいつも、僕と里奈だけの世界で過ぎていく。彼女と、その深い繋がりを確かめるように抱き合う快楽の前では、他のことを考える隙などない。

しかし美月からのLINEで突如“現実”に引き戻された僕は、みるみる冷えていく頭と未だ熱をもつ身体とのギャップに、自分が身を置く状況の不当さを認識せざるを得なかった。

「どうしたの?」

僕の異変に気付いた里奈の、艶っぽい声が不安げに響く。

僕はほとんど自分に言い聞かせるように「なんでもないよ」と笑うと、意識して優しく、彼女の頭を撫でた。

少しばかり汗ばむ里奈の身体をぎゅっと抱き寄せると、その、ぴたりと吸い付くような肌の感触が、まるで蜜のように僕の心を甘美に浸す。

−もう、後戻りはできない。

罪悪感にも勝る里奈に触れたいという欲望は、僕にそんな覚悟さえ決めさせた。

…しかし、いざ“恐れていたこと”が現実となったとき。

僕の心に広がったのは、ついさっき決めたはずの“覚悟”とは真逆の感情だったのだ。

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