恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.9

「妻への罪悪感は、ない」婚外恋愛に溺れた商社マンの、身勝手な欲望と小細工

廉:タブーを犯した夜


「そんなつもりじゃなかった」

…なんて、いまさら里奈にはとても言えない。

いや、しかし、これは僕の本音である。

「廉の部屋に連れて行って」

あのとき里奈が、そんなセリフを言わなければ。

そうすれば、僕はどうにか理性を保ったままタクシーで送り届けていたはずだし、部屋でふたりきりになった後も、彼女が抱きついてきたりしなければ、一線を超えることだけはなかったと思う。

それは僕が道徳的だとか、自制心があるとかいう話ではない。

情けない話だが、僕は昔から里奈を前にすると、ただただ臆病で弱気な男に成り下がってしまうのだ。


「里奈を、自分だけのモノにしたい」


「ずっと廉と、こうしたかった…」

ホテルの部屋で、ふたりきり。

一糸まとわぬ姿になった里奈が、瞳を潤ませそう呟いたとき。

僕の中で何かがプツン、と音を立て、抑えていた感情が堰を切ってあふれ出した。

「里奈、里奈、里奈…」

そうしていったん箍(たが)が外れ......


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