恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.10

妻を抱く苦痛から目を逸らし、“恋人”との蜜月に溺れる。理性を失った男の不埒な言い分

−なぜ今、思い出すのだろう?

若く、それゆえ傲慢だった同級生・相沢里奈の、目を声を、ぬくもりを。

これは、悪戯に交錯する二人の男女の人生を、リアルに描いた“男サイド”のストーリー。

商社マンらしくモテ男人生を送る一条廉は、27歳で3歳年上の美月と結婚。シンガポールで新婚生活をスタートさせる。

しかしその心には、特別な思いを抱く大学時代の同級生・里奈がいた。

一時帰国中、廉は里奈に誘われ2人で食事をする。“友達”を保つふたりだが、しかしこれをきっかけに関係は深まっていく。

そんな中、大学サークルの10周年パーティーに廉と里奈は揃って出席。

里奈からの誘いで密かに会場を抜け出した二人は、ついに一線を超えてしまうのだった。


再びの逢瀬


−里奈の生活を、絶対に壊してはならない−

そう、あれほど自分に言い聞かせていたはずなのに。

しかし里奈の柔らかな肌に触れると “理性”や“道徳”などという概念はこんな時、大した意味を持たないと思い知る。

彼女が再びホテルの部屋に現れたとき、僕が考えることができたのは、ただただ里奈を抱きたいということだけだった。それが善か悪かなんて、どうでもいい。

熱に浮かされ、禁断の域に踏み込んでしまった二人はもう、感覚が麻痺している。背徳感すら媚薬となって、さらなる深みへと溺れていくだけだった。

「朝まで、ここにいられる?」

まだ呼吸を整えている彼女の肩をぎゅっと抱き寄せ、僕は里奈に囁く。

彼女の夫・二階堂直哉は、すでに出張から戻っていると聞いた。二日連続で朝帰りなどすれば、さすがの夫も“何か”に気づくだろう。

…真に彼女のことを思うなら、夜の間に帰すべきだった。

だがこの時、僕には里奈が他の男の妻であるという実感がまるでなかった。

ずっと噛み合わなかった歯車が今、ピタリと合った。里奈を抱くたび昂まっていく熱情が、その運命の正しさを証明しているようにさえ感じていたのだ。

このまま、時が止まればいい。

そんな陳腐な願いを唱えながら、結局、僕と里奈はフライトの時間ギリギリまで離れなかった。

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