恋と友情のあいだで~廉 Ver.~ Vol.6

「ただ、2人で食事しただけ」新婚の商社マンがセレブ妻との密会に使った“友情”という隠れ蓑

里奈との密会


広尾の『Sudachi』に到着すると、先に来ていた里奈は僕を認め、小さく手を振った。

「ごめん、里奈。待った?」

僕はともすると滲み出てしまう照れを隠すように、首筋の汗を拭う。

彼女と待ち合わせをするのは、初めてじゃない。大学の中庭で、大教室の入り口で、カフェや駅前で、過去に何度もこんな風に落ち合った。

しかしこの夜すぐに里奈の目を直視できなかったのは、ノースリーブから覗く華奢な二の腕に、タイトなスカートが映し出す身体のラインに、熟れ始めた果実のように匂い立つ色香を感じたからだ。

19歳で出会った僕たちも、気づけば28歳。知らぬ間に随分と、大人になっていた。


振り返ってみるとこの夜、僕たちは他人の話ばかりをしていたように思う。

僕はそれほど親しいわけでもないが、里奈と仲の良かったサークル仲間の未祐の近況を尋ねてみたり、誰と誰が結婚したとか、あいつはしばらく独身に違いないとか、そんな噂話ばかりを競うように話した。

互いの心の内に......


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