LESS~プラトニックな恋人~ Vol.8

LESS〜プラトニックな恋人〜:“正しい愛”なんてない。身体の繋がりが、心を凌駕した夜

今、東京の男女が密かに抱えている悩みがある。

恋人や夫婦間での、肉体関係の喪失だ。

この傾向は、未婚の男女においても例外ではない。

2017年冬、相思相愛だったはずの彼・健太からプロポーズされた美和子は、涙を流す。

ふたりの5年間に、何があったのか?

実は同棲1年が経つ頃から、ふたりは不完全燃焼の夜を境に“プラトニックな恋人”となっていた。美和子は思いをぶつけるが、レス問題は一向に解決しない。

30歳になった美和子は、学生時代の友人に悩みを相談。御曹司・瀬尾を紹介され、2度目のデートで彼から真剣告白され、ついに健太と別れることを決意

引き止める健太を振り切り家を飛び出して、瀬尾が用意してくれたホテルへと向かうのだった。


正しい愛なんて


ホテルのロビーで、瀬尾さんを待つ。

3年以上一緒に暮らした健太とたった今別れてきたばかりなのに、私は一体、ここで何をしているのだろう?

ガラス越しに眺める都会の夜は、冷静な判断力を奪っていく。

ぼんやりと闇を見つめながら、しかし私は「そもそも」と自分に言い聞かせた。

−男と女の間に、正解なんてあるのだろうか?

私は健太を、心の底から愛してきた。まっすぐに恋い焦がれ、彼以外によそ見をしたことも、嘘をついたことだって一度もない。それなのに…。それなのに、私と健太はレスになった。

正しい愛が、幸せに結びつくとは限らないのだ。

…それなら、たとえ正しくない愛し方だったとしても、幸せを手にすることだってあるのではないだろうか?

そんな滅茶苦茶とも思える理論を組み立て、どうにか自分の立ち位置を正当化したところで、背後から私の名を呼ぶ声がした。

「美和子さん!」

次の瞬間、私は瀬尾さんの胸にきつく抱きしめられ、温かな体温に包まれていた。

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