LESS~プラトニックな恋人~ Vol.7

LESS〜プラトニックな恋人〜:もう私を解放して…!抱き合えない恋人への、悲痛な叫び

今、東京の男女が密かに抱えている悩みがある。

恋人や夫婦間での、肉体関係の喪失だ。

この傾向は、未婚の男女においても例外ではない。

2017年冬、付き合って5年になる相思相愛の彼・健太からプロポーズされた美和子は、涙を流す。

ふたりの5年間に、何があったのか?

実は同棲1年が経つ頃から、ふたりは不完全燃焼の夜を境に“プラトニックな恋人”となっていた。美和子は思いをぶつけるが、レス問題は一向に解決しない。

30歳になった美和子は、学生時代の友人・茜に悩みを相談。御曹司・瀬尾を紹介され、2度目のデートで彼から真剣告白された美和子は、ついに健太と別れることを決意する。


過去を振り返るのは、もう終わり


まさかこんな時が来るなんて、想像もしていなかった。

健太と出会ったあの夏の日から、私の心に彼がいない日などなかった。

3年以上の月日を共に暮らした部屋には、至る所に健太との思い出が転がっている。

いま手にしているマグカップだってそう。これは付き合って間もない頃、ディズニーランドで盛り上がってペアで買ったものだ。

視線の先、テレビボードにちょこんと鎮座している小さなガジュマルの木は、同棲してすぐ、健太が会社帰りに嬉しそうに持って帰ってきた。…確か、恵比寿駅前のフラワーショップで見つけたと言っていた気がする。

「美和子との記念樹だよ」なんて言う彼に、「健太ってロマンチストだったのね」と笑ったっけ。

懐かしい思い出が、走馬灯のように頭をよぎる。

けれどこの時はもう、美化された記憶にさえ、私の決意を止めるだけの力は残っていなかった。

時計の針が22時を通り過ぎた頃、玄関が開く音とともに私は立ち上がる。

…過去を振り返るのは、もうおしまい。私は前を見て、生きていく。

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