―マウンティングとは霊長類に見られる、社会的序列の確認と自己顕示のための行為。
東京の女たちは今日も霊長類のごとく、笑顔の裏でマウンティングを繰り広げている。
だが、一部の女は気づき始めた。 マウンティングは、虚像でしかないことを。
果たして、その世界から抜け出した先には、どんな世界が広がっているのか。
マウンティング世界の向こう側を、覗いてみたくはないだろうか。
「マウンティングの虚像」一挙に全話おさらい!
第1話:モヤモヤ・イライラ発言の連発。ボクシング状態の女子会トーク
「麻耶のバッグ可愛いね。miumiu?」
スタッズ付きの、ピンクベージュのトートバッグを見て、カリナが唐突に言い放つ。
「それ、3年前のやつだよね。私も色違いの黒持ってたけど、25歳過ぎてmiumiuだと、ちょっと若いかなぁと思って妹にあげちゃった。」
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第2話:赤裸々に教えます。女たちの、SNSマウンティング”匠の技”
「すごーい!美味しそう♥」
「『鮨 さいとう』に行けるなんて、麻耶ちゃんって普通じゃないよね!」
という賛美のコメントが続き、麻耶はその日中満足感に満たされていた。だが、寝ぼけまなこでInstagramを開けて飛び込んできたカリナのコメントは、それらとは全く異質のものだった。
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第3話:若い今しか味わえない世界があるから。マウンティングで自分をすり減らす道を選ぶ女
仁美は紙・web媒体ともに豊富な人脈を持ち定期的に勉強会を開催しており、麻耶も定期メンバーに入れて貰うようになって1年が経つ。
その後の懇親会にも、麻耶は必ず出席する。そしてそこで紹介されたのが、麻耶がこれから多大な影響を受けることになる女・玲奈だった。
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第4話:コンプレックスモンスターを生む街・東京が教えてくれたこと
「カリナ。今年からお前を大々的に事務所として売り出すことにしたから。事務所の寮に入りなさい。民放のドラマに出してやる。」
「本当ですか?!」
あぁ、自分はなんて幸せなんだろうと、カリナは自分の幸運さを疑ったほどだ。だが、その後の思わぬ事件によってカリナの人生は大きく暗転することになる。
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第5話:「彼氏と割り勘旅行なんてありえない」と、上から目線で不要なアドバイスをしてくる女
謙遜すれば、またあのカウンセリングを装った彼氏の悪口が始まるかもしれない…と麻耶は身構えるが、時すでに遅し。なぜか大げさにため息をつき、カリナは語り出した。
「ねぇ。前に言ったかもしれないけど、麻耶は彼氏と割り勘で旅行に行くような女じゃない。麻耶くらい可愛くて若い子が、何が悲しくて自腹で旅行に行かなきゃいけないのよ?」
いつの間にかビールを飲み干していたカリナ節は、とどまることを知らなかった。
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第6話:不毛なマウンティングから抜け出すには、塩対応と哀れみの心を身に着けよ
「この子は希子。モデルさんです。趣味は筋トレで、嫌いな食べ物はフォアグラとか肝系。で、こっちの子は麻耶。出版社に勤めてて、こんなに可愛いのにすごい優秀なんですー!」
おお、と男性陣のどよめきが起こる。そして、最後に自分の自己紹介をしてひとしきり場の主役になる、というのがカリナのお決まりのパターンだ。
だが、その日は少し様子が違った。イノッチと名乗る優しげな顔の男が、明らかに初めから麻耶に興味を示してきたのである。カリナが午前中に行ったという新しいカフェの話題を適当に遮り、麻耶に話を振ってきた。
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第7話:女友達は自分の鏡。素直な友人が引き出してくれた、彼以外の男性への正直な気持ち
結婚して夫の実家がある文京区に移り住んだ姉は、幼稚園選びは特に慎重に行ったという。運動会などを見学し、園全体だけでなく保護者の様子も入念にチェックしたらしい。
児童館などで保護者のカラーなども聞き取り調査し、とりわけのびのびとした幼稚園に入園させたつもりだったらしいが…。
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第8話:偽りなき幸せの為に。東京で、他人の評価軸に左右されない男性選びはできるのか
イノッチは今年で42歳になるというが、全く「おじさん」という感じがしない。仕事柄不規則な生活になりがちなので、ワークアウトや食事にはかなり気を遣っているという。
若々しく、笑顔の柔らかな、女に警戒心を抱かせないバツイチの男。そんな彼が好きなのは、どんな女性なのだろうか。
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第9話:誰にでもある、2面性。マウンティングモンスターが、隠していた弱さをさらけ出した日
「あの、良かったら何でも話して。でも、無理にじゃなくても大丈夫。私も、話を聞いてもらおうと思ってきたの。」
そう言った時、カリナは不思議そうな表情をしていた。戸惑っているようにも見えたし、照れているようにも見えた。女友達に弱みを見せるということを、もしかしたらカリナは長いことしてこなかったのかもしれない。
遠慮がちに、少しずつ言葉を選ぶように話し始める。
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第10話:「いいな、羨ましい!」でいい。女同士の近況報告で素直さを失うと、友達も失う
今は、以前よりもその感覚を自分で意識的に客観視することで、コントロールするようにしている。やっとカリナとも普通の会話を楽しめるようになった今、大学の時の友人とまでマウンティングにまみれた会話をしたくないという思いが強いからだ。
「どうしたの麻耶、ぼーっとして。ほらほら、日本酒オーダーしよう!」
学生時代と変わらぬよく通る大声で、裕子が麻耶の目の前にメニューを置いてくれた。そしてそのまま喋り続ける。
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第11話:彼氏と新たな男。2人からの求愛を受け入れるのが私らしさ?女の浅はかな勘違い
どんな男と付き合おうが、どんなバッグを持っていようが、自分に確固たる信念があれば問題ないのだ、と悟り始めたのだ。
そうすると、こうした勉強会にきても、同じような年頃の女性に会っても、不必要に傲慢になったり自分を高く見せるような発言もしない。そうした発言をしたい!という欲求すら起こらない。
だが、麻耶は「誰が何と言おうと私は私」という気持ちを優先するあまり、自分を客観視できていないことには自分では気がついていなかった。
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第12話:軽薄な行動が招いた結果。彼に去られ、レストランに1人取り残された女の虚しさ
以前は麻耶のInstagramの投稿にカリナが余計なコメントを書き込んできてイライラさせられていたが、そうしたコメントももうない。
麻耶は、ベッドに座りながらお気に入りのクッションを背に楽な姿勢をとった。床にはヘアアイロンや、アクセサリー、財布や脱ぎ散らかした洋服が散乱している。だが、そうしたものには目もくれずInstagramの投稿画面を開く。
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第13話:かつての敵に慰められる朝。一晩で2人の男を失った女の、思い通りにいかない人生
潤とのデート中に、イノッチからのLINEを見られた。だが、決定的なことがかいてあるわけではない。「仕事が終わったんだけど、今から出てこれる?」というような内容だったはずだ。
スマホのLINE画面を開くと、イノッチから、「おーい」という新たなメッセージが来ている。麻耶は、とにかく誰かにすがりたくて、「今、西麻布に来てるの」とメッセージを送った。
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第14話:彼氏ナシと決めつけていた友達に、恋人発覚。そんな時の正しい対応は?
みんながみんな、次々とLINEやFacebookで”結婚します!”と宣言している。
「なんで私には彼氏すらいないのよ…。」
誰もいない自宅のダイニングテーブルに頬をぴったりつけてつぶやくと、もう頭を起こせない。足元でチワワのミルクがうろちょろしているが、かまってやる気分ではない。あの日以来、潤からの連絡は途絶えているし、自分を友達扱いするイノッチと飲みに行く気にもならなかった。
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第15話:今のままの自分じゃ不安。実家暮らしのお嬢様が発症した自分探し症候群
あれ以来、潤からは一向に連絡が来る気配はないし、気のない返事をしてばかりの麻耶に、イノッチからの連絡も最近はなくなった。そんなことも相まって、ふと時間を持て余していると、友人だけでなく実の姉にさえ嫉妬の気持ちが芽生えてしまうのだ。
そうした状況に嫌気がさし、麻耶はとにかくぽっかりと空いた時間を埋めようと奔走していた。
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第16話:やっぱり私に、無難な彼氏はふさわしくない。野心を捨てられない女
―8年前。
私が下した小さな決断。将来への漠然とした不安と根拠のない自信の間を、フワフワ行き来していた私が、辿り着いた場所。
それが正しかったのか、正しくなかったのかと考えながら、今でも私は、あの1日を思い出すことがあるー。
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