751ce970c0792008f972be8e37ca88
52歳の“ツウ”な東京レストラン Vol.1

「誘った相手が絶対喜ぶ」東京レストラン5選!グルメな大人だから知る青山・浅草・赤羽などのツウな店

無我夢中で働き、仕事や生活の変化に目まぐるしく対応した若かりし頃を経て、真の大人の成熟に到達する52歳。

お金も時間も余裕のあるいま無性に惹かれるのは、心地良い食体験ができる店。それでいて一緒に行く仲間やパートナーが喜んでくれたら心底嬉しい。

そんな意外性のある店を、センス溢れる5人の食通に聞いた。



東京カレンダーアプリ(iOSの方Androidの方)なら、発売中の月刊誌最新号の電子書籍がどこよりもお得に購入いただけます!また、この記事から1クリックで、レストラン予約サイト「グルカレ by 東京カレンダー」へ。すぐに店の予約ができます!

この世代のイケオジ代表!

トランジットホールディングス 代表取締役 中村 貞裕氏


1971年生まれ。『THE UPPER』や『THE APOLLO』など人気店を数多く手掛け、国内外で評価される。話題のピックルボールをいち早く仕掛けるヒットメーカー。

1.一線を走る実業家は、深夜の上質なイタリアンで心の距離を近づける
『tens.』

外苑前『tens.』の内観

「外食は相手との距離を縮める場所。特にカウンターが好きなのは緊張がほぐれるから。スタッフの方々が“気さく”なのも重要」と中村さん。細長いL字カウンターはそんな条件を満たしている


「いい意味で緊張しない感じがこの店の魅力。“自分をわかってもらう”には深夜のカウンターが良いですね」


青山の予約困難なイタリアン『malca』が昨年10月、外苑前にひっそりと姉妹店『tens.』を出店。“食べたいものを、好きなだけ”というアラカルト主体のコンセプトは本店同様だ。

「料理の温度、オープンキッチンから漂う香りや音を直に体感してほしい」とオーナーシェフ北野 司さんは言う。

外苑前『tens.』の「淡路島産新玉ねぎのアマトリチャーナ、手打ちのピチ」

新玉ねぎの甘みとトマトの酸味とのバランスが秀逸。「淡路島産新玉ねぎのアマトリチャーナ、手打ちのピチ」¥4,200(2人前)


深夜の同店へ社内外の仲間を連れて頻繁に通うのが“トランジット”代表の中村貞裕さん。

「『TACUBO』出身でパスタ担当だった北野シェフが作るパスタが絶品!デザートまですべてがハイレベル、これに尽きます」と絶賛する。

外苑前『tens.』の「tens.のプリン」

「tens.のプリン」(¥1,300)は外側は硬めで中は滑らか。ラム酒入りのビターなキャラメルが赤ワインと好相性


仕事柄、国内外のグルメに精通する中村さんレベルともなれば“美味しい”は大前提。

パスタが常時20種類から選べる楽しさに加え、メニューにないリクエストにも対応してくれる柔軟さ。

外苑前『tens.』の黒板メニュー

「ナポリタン」(¥4,000)などの裏メニューは22時以降に登場。前菜からメインまで50種もの料理を頼める贅沢がある。余裕ある大人しか通えない価格帯も、店の雰囲気が良い秘訣


加えて「うちは22時からが本番」と北野シェフが話すように、深夜限定の裏メニューが登場するワクワク感もある。

24時までの連絡でラストオーダーは自由自在なため、深夜に絶品にありつけることも、舌の肥えた多忙な大人たちを射止める所以だ。

夜中にもかかわらず贅沢な時間を過ごせる、そんな心地良い裏切りが仲間の心を掴んでいる。

tens.(外苑前) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

この世代のイケオジ代表!

放送作家 塩沢 航氏


1975年生まれ。よく書き、よく食べる放送作家。代表作に「アナザースカイ」「オモウマい店」「有吉くんの正直さんぽ」。「巨大マグロ戦争」など特番も手掛ける。

2.気鋭の放送作家が描くもてなしのシナリオは、赤羽でワインという非日常
『Nomka』

赤羽「ループ館」

赤羽駅西口の「イトーヨーカードー」に隣接する「ループ館」。庶民的な飲食街の中に、食通が集う美食店が潜む。立地の妙が面白い


「赤羽にして、中華バル的なメニューとナチュラルワインが豊富というサプライズ感。一筋縄ではいかない皿ばかり!」


小山薫堂さんの一番弟子で、ヒット番組を手掛ける放送作家の塩沢 航さん。

師匠譲りのグルメ作家として知られ、多忙の中でも後輩を食事に連れ出すなど食へのこだわりは強く、厳しい。そんな塩沢さんが、10年以上通い続ける店が赤羽にある。

「繁華街とは逆のエリアで、立体駐車場の地下の『ループ館』という場所に店がある立地のマニアックさ。

気の利いたメニューが豊富にそろう、意外性に次ぐ意外性。そしてなぜこのレシピに至るのかと想像を巡らせるサプライズ感。訪れるたび新しい皿に出逢えます」

赤羽『Nomka』の五十嵐祐二氏、麻里氏

料理は夫の祐二さん、ワインは奥様の麻里さんが担当。「ここを目がけて来てもらえるように」とあえて目立たない場所を選んで出店した。ワイン好き夫婦の穏やかな人柄も居心地良い


店主の五十嵐祐二さんは日暮里で香港料理店を営んでいたが、赤羽に移転し、ワインを楽しみながら料理をつまめる店としてリスタート。

ワインはナチュラル・クラシック両方を扱い、味わいが優しいものをセレクト。合わせる料理は発酵やフルーツを取り入れた、香りや旨みをじっくりと味わえるひと皿が充実する。

全員が注文する前菜盛り合わせ

赤羽『Nomka』の「おつまみ盛り合わせ」


「おつまみ盛り合わせ」(1名分¥1,380)でボトルワイン1本が空いてしまうほど。

赤羽『Nomka』の「タコと野菜のマカオ風ドリア」


「香港人が思い描いた洋食」をイメージした「タコと野菜のマカオ風ドリア」(¥2,380)は、ココナッツソースに無糖の練乳や豆板醤を加えサフランで香り付け。

ジューシーで生き生きとしたオーストリアの白と。

赤羽『Nomka』の「マンゴーソースのエビマヨ」


「マンゴーソースのエビマヨ」(¥2,200)は、「外せない逸品」と塩沢さんイチオシ。

果物のアロマが香るドライな白が寄り添う。

赤羽『Nomka』の「スペアリブ揚げ トマトビネガーソース」

骨付き肉を蒸して脂抜きしてから揚げるため、口当たりがしつこくなくあっさり。酢で仕上げた、香港スタイルの「スペアリブ揚げ トマトビネガーソース」¥2,200。八朔やスウィーティーを思わせる爽やかな白が合う


「いつも散々悩んだ挙げ句ひと通りオーダーする羽目に」と塩沢さん。

中華なのに食後感が軽く、でも物足りなくない絶妙な塩梅で、ワインもテンポよく進む。想定外の場所にある美食は、訪れる人に驚きと感動を与えるのだ。

赤羽『Nomka』の外観

表にずらりと並んだワインボトルが目印


■店舗概要
店名:Nomka
住所:北区赤羽西1-7-1 ループ館 地下飲食店街
TEL:03-5948-4233
営業時間:18:00~LO21:30(日祝18:00~LO21:00)
定休日:不定休
席数:カウンター6席
※利用は1組3名まで
※支払いは現金のみ

この世代のイケオジ代表!

アートディレクター 秋山具義氏


1966年生まれ。広告キャンペーン、パッケージ、キャラクターデザインなど幅広い分野で活躍。広告界きっての美味しいもの好きで、飲食店のロゴも多く手掛ける。

3.この焼き鳥に潜む意外性。デザインの寵児が推す新名店は伊達じゃない
『酉囃子』

麻布十番『酉囃子』の内観

「奇麗な焼きは奇麗な串打ちから」と、仕込みの段階からしっかりと串を整えることを重視する理論派の林さん。気さくな人柄も愛される理由だ


「神楽坂の頃から通っています。炭だけでなく薪も使っていて、お料理すべてが絶品なんです」


今年2月にオープンするやいなや、話題店となった麻布十番『酉囃子(とりばやし)』。神楽坂で人気を博した『焼鳥 茜』が店名も刷新して移転、パワーアップした新店だ。

店主の林 裕太さんは「これまでの経験をベースに、吟味した素材に新たなアイデアをかけ合わせた、ここにしかない焼き鳥を召し上がってほしい」と意気軒昂。

麻布十番『酉囃子』の調理風景

炭と薪の2種の熱源を使用するが、焼き台とカウンターの間にエアカーテンを設置することで、炎や煙が客席に流れない


神楽坂時代から定期的に通っているという秋山具義さんは「緻密な仕事から生まれる串は、味はもちろんビジュアルも見事だし、ワインのセレクトも素晴らしい!」と、林さんの味と技、そしてソムリエールである奥様・茜さんのおもてなしにすっかり惚れ込み、『酉囃子』のロゴデザインも手掛けたほどだ。

「林さんの焼き鳥は柑橘や大葉といった香りの要素が忍ばせてあるなど、クリエイティビティに満ちています。

コースの途中で意表を突いてくるさつま揚げも相変わらず絶品だし、お連れした人が驚いてくれるポイントがあるのがうれしいですね」

麻布十番『酉囃子』の「白レバー」

藁の香りが漂う「白レバー」


薪火で火を通したのち藁の香りで仕上げる「白レバー」。

麻布十番『酉囃子』の「手羽先」

「手羽先」には柑橘を忍ばせて


骨を抜いて食べやすい「手羽先」。

皮と肉の間に柑橘の皮を射込んである手間のかけよう。爽やかな香りが時間差で口の中に広がる。

麻布十番『酉囃子』の「さつま揚げ」

チーズ&クミンの「さつま揚げ」


奥様の茜さんが鹿児島出身であることから生まれた、神楽坂時代からのスペシャリテ。

1本の串で、野菜のさつま揚げと、チーズ&クミンのさつま揚げを一度に楽しめる。料理はすべてコース(¥13,000)の一例。



辣腕クリエイターも認める創意溢れる品々を目の前に、仲間同士で会話も弾むこと確実だ。

酉囃子(麻布十番) | デートに使える東京のレストランはグルカレで予約

この世代のイケオジ代表!

芸人・俳優 マキタスポーツ氏


1970年生まれ。世間とは一線を画した独自の感性で食を追求。ラジオ番組で素麺を販売している。こだわりの食技法を綴った『グルメ外道』(新潮社)が発売中。

4.多才な熟練タレントの一手は、有無を言わさずカラスミパスタで唸らせる
『ワイン食堂 MAREA』

中野富士見町『ワイン食堂 MAREA』の内観

ワインボトルが飾られたリビングのようなリラックスできる空間。テーブル配置もゆったりしており、居心地良く過ごせる。客層は40~60代が中心


「ここのパスタは唯一無二。他の料理の付け合わせにも仕事が施され、ぬかりないな、と思わせてくれます」


これまでにない鋭いグルメ論を生み出すマキタスポーツさん。特に麺へのこだわりが強く「10分どん兵衛」という食べ方を提唱し、日清食品に評価された逸話を持つ。

そんな猛者をして「ここのパスタは唯一無二」と唸らせているのが中野富士見町にある“MAREA”のカラスミパスタだ。

中野富士見町『ワイン食堂 MAREA』の「カラスミとチーズの黄金カルボナーラ」

裏メニューながら「カラスミとチーズの黄金カルボナーラ」(¥2,400)と注文すれば提供可


現在使う麺は『浅草開化楼』の製麺師・不死鳥カラス氏とサローネグループの樋口敬洋シェフが開発したカラヒグ麺というパスタ生麺。

「極限まで加水を減らすことで、小麦の旨みが引き出され、乾麺でも生麺でもないプリプリの食感が楽しめます」とオーナーシェフの半田雄大さんは言う。

その麺を贅沢にもカラスミ、ミモレットチーズ、卵黄を合わせてカルボナーラ仕立てに。とろけるコクのあるソースにカラスミの塩気が絡んだ、ワインの進む味。

実はこちら現在はメニューにない裏メニューで、6年来の常連というマキタスポーツさんの、仲間に対するサプライズなひと皿でもある。

中野富士見町『ワイン食堂 MAREA』で提供しているワイン

イタリアのナチュラルワインが中心。ボトル40種類は¥5,000均一、グラス8種類も¥900均一と破格。マキタスポーツさんが必ず注文する花のアロマが華やかな「アントヌッティ フリウラーノ2022」(左)


遊び慣れた大人には新鮮に映る立地も相まって、レストランは「心の潤い」と語るマキタスポーツさんらしい、食の個性が隠された一軒だ。

■店舗概要
店名:ワイン食堂 MAREA
住所:杉並区和田1-17-17 新村ビル 1F
TEL:03-6304-8127
営業時間:18:00~LO20:30(土日 12:00~LO13:30/17:30~LO20:30)
定休日:月曜
席数:テーブル18席、半個室1(6席)

この世代のイケオジ代表!

博報堂 執行役員・嶋 浩一郎氏


1968年生まれ。博報堂入社後、クリエイティブエージェンシー博報堂ケトルを設立。下北沢『本屋B&B』運営やラジオ出演、著書執筆などで活躍。ワインに造詣が深い。

5.含蓄に富む店主と心地いい音。名クリエイターの提案は大人好みのゆるやかな時間
『ボーゼスプリ』

浅草『ボーゼスプリ』の内観

レコードのアナログ音を70年代のヴィンテージスピーカーで聴く、良音に包まれながら飲むワインが至福


「ジャス、ボサノバ、ロックや歌謡曲が響く、店主のセンスが光る空間で仲間と雑談するのが好きです」


ガラス扉を開けると出迎えてくれるのは、“アルテック”の古いスピーカーから流れる大音量の音楽。

浅草『ボーゼスプリ』の内観

店主の有馬さんは文学部出身。本棚にはワインや料理の本、伊丹十三の書籍なども並ぶ。カウンターはワインの色が映えるように白にこだわり、天井にはひとり客が来て読書ができるようペンダントライトが


純白のカウンターと壁には本やギターが並び、キャップにスウェット姿でワインを注ぐのが、店主の有馬 基さんだ。早くも彼の趣味部屋を訪れたような気分に。

「『ボーゼスプリ』に仕事仲間を連れて雑談する時間が好き」と話すのは、クリエイターの嶋 浩一郎さん。

「音楽と本とワインという、有馬さんが大好きなものが溢れた空間が唯一無二で、誰を連れていっても喜んでくれる。その日の気分でジャンルレスに曲が流れます」

浅草『ボーゼスプリ』の有馬 基氏

有馬さんが好むワインは「飲んだあと内側から香りが戻ってくる“レトロネーザル”のあるもの」とか。お喋りも心地良い


有馬さんは長年ワインの輸入業を生業に、欧州各国を飛び回っていた。そのためワインの説明はプロフェッショナル。

「有馬さんが付き合ってきたフランスのワインの生産者や、東京のキラ星のごとくのシェフの皆さんにまつわるお話が面白い」

小難しいワインの蘊蓄はさておき「これ美味しいから飲んでみて!」と友達に注ぐようなフランクさとチャーミングな人柄に誰もが魅了される。

浅草『ボーゼスプリ』の「ポークソテー 素敵なトマトソース」

「ポークソテー 素敵なトマトソース」¥2,500。白ワイン“エイタ”はバスク語で冒険の意。カウンターのバゲットとバターは「いくらでも食べてよし」というサービスがユニーク


浅草で香るフランスのエスプリは、経験値高き大人にこそ刺さるのだ。

浅草『ボーゼスプリ』の内観

ワインはフランスを主体に、デイリーに飲めてパフォーマンスの良いボトルを厳選。グラス¥1,800~


■店舗概要
店名:ボーゼスプリ
住所:台東区駒形2-6-4 丸山ビル 1F
TEL:03-6231-7110
営業時間:【月・水~金】17:00~(L.O.22:30)
     【土】17:00~24:00
     【日】15:00~22:00
定休日:火曜、不定休
席数:カウンター8席

▶このほか:予算7,000円前後で大満足!デートにも使える手頃なフレンチビストロ3選

東京カレンダー2025年6月号の表紙

さらに詳しく知りたい方は「東京のリアル2025」を今すぐ手に入れよう!

『東京カレンダー』2025年6月号は「東京のリアル2025」。32歳、45歳、52歳から見た今の東京とは?

月刊誌『東京カレンダー』は、毎月21日頃の発売です。お近くの書店、コンビニでお求めいただけます。
紙版をお求めの方はこちらから

また、買いに行く時間がない方、近くのお店で売り切れてしまっている方には、インターネットでの購入もお勧めです。
通常版はこちらから
特別増刊はこちらから

最新号も過去号(約10年分)も、東カレアプリ内のコインで購入するのが一番お得です!(通常版のみ)
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方Androidの方
※最新版のアプリをダウンロードしてください。

東京カレンダー2025年7月号の表紙

月刊誌最新号「東横線プライド」はこちらから!

今月の『東京カレンダー』は「東横線プライド」。都内随一のお洒落さを誇る沿線を総力取材!

月刊誌『東京カレンダー』は、毎月21日頃の発売です。お近くの書店、コンビニでお求めいただけます。
紙版をお求めの方はこちらから

また、買いに行く時間がない方、近くのお店で売り切れてしまっている方には、インターネットでの購入もお勧めです。
通常版はこちらから
特別増刊はこちらから

最新号も過去号(約10年分)も、東カレアプリ内のコインで購入するのが一番お得です!(通常版のみ)
⇒アプリでのご利用はこちらから(iOSの方Androidの方
※最新版のアプリをダウンロードしてください。

52歳の“ツウ”な東京レストラン

無我夢中で働き、仕事や生活の変化に目まぐるしく対応した若かりし頃を経て、真の大人の成熟に到達する52歳。

お金も時間も余裕のあるいま無性に惹かれるのは、心地良い食体験ができる店。それでいて一緒に行く仲間やパートナーが喜んでくれたら心底嬉しい。

そんな意外性のある店を、センス溢れる5人の食通に聞いた。

この連載の記事一覧