1LDKの彼方 Vol.16

結婚前同棲は、恋人たちの甘い世界となるか、それとも…。「1LDKの彼方」全話総集編

同棲。

それは、デートと結婚の間にあるグラデーションのような、恋人たちの甘い世界。

けれどそんな甘い世界は、少しでも気を抜けば、一瞬で残酷な世界へと表情を変える。

ふたりの距離が近づけば近づくほど、心は離れていく。そんな真実を浮かび上がらせる、残酷な恋の地獄にもなり得る──。

明里と亮太郎が住む1LDKの空間は、恋人たちの甘い世界となるか、それとも…。

「1LDKの彼方」一挙に全話おさらい!

第1話:恵比寿で彼と同棲を始めた29歳女。結婚へのカウントダウンと意気込んでいたら

今住んでいる目黒の権之助坂のマンションはファミリー向けの部屋が多く、在宅リモートワーク時に聞こえてくる子どもや赤ちゃんがいる家の音には、少なからず悩まされていた。

だから、更新のタイミングでちょうど引っ越しを考えていたところだったのだ。

渡りに船の状態で迎えた、同棲初日のクリスマス。私と亮太郎は、引っ越し業者のスタッフが引き払うなり、大きなベッドの上で何回もキスを交わした。

そうして亮太郎に溺れていく間に、これから先の未来には幸せだけが待っていると思い込んでしまった。

甘やかな期待がこのあとすぐに裏切られることになるなんて…この時の私は、考えもしなかった。

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第2話:年上彼女から「ボッテガのキーケース」をプレゼントされた28歳男が、困惑したワケ

― 明里が、遠い。

無言の空気に促されるままに、俺もダイニングテーブルの明里の向かいに腰掛ける。

去年のクリスマスに、すこし遅れた明里へのプレゼントとして購入したこのダイニングテーブルは、たかだか幅80cmといったところだ。繋ごうと思えば、明里の手をとって握り締めることだってできる。

だけど…なぜだかわからないけれど、テーブルの向こうの明里は、はるか彼方にいるように感じる。

近くにいるのに、遠い。同棲を始める前よりも彼女を遠く感じるのが、不思議だった。一緒に暮らし始めた頃は、こんなふうに感じる時がくるなんて思いもしなかった。

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第3話:「家族に紹介してほしかったのに…」年末年始は、彼氏と過ごせなかった29歳女の憂鬱

「どしたの明里。亮太郎くんと何かあった?」
「ううん。別に、何かあったとまではいかないんだけどね。実は…」

実際に、亮太郎との生活は順調だ。

多忙でなかなか会えなかったときに比べたら一緒にいられる時間は格段に増えて、この2週間とても幸せな毎日を送っている。

けれど、ふとした時に感じる違和感があるのだ。私は、その心の引っ掛かりを菜奈に打ち明けることにする。

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第4話:「結局、料理上手な女性が好き」広告代理店勤務・27歳男のリアルな本音

「おつかれ。さすがにモデルさん来たら気合入れるわ。そっちは?クライアントは何時に来るんだっけ?」
「えーと、今が8時半だから…あと1時間くらいかな」

先方の社長がミーハーで「撮影に立ち会いたい」と希望しているため、営業である瑛介は、アテンドのために来ているのだ。

けれど瑛介はまったく仕事の話に興味を示す様子もなく、俺の頭のてっぺんから足の先までジロジロと観察したうえで、言った。

「…って、亮太郎。お前、一体どうしちゃったんだよ?」

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第5話:「何これ…」付き合って1年記念日。27歳彼氏からのプレゼントに、女が絶句したワケ

「ふぅ〜、さすがに遅くない?」

思わずそんな独り言をもらしてしまった私の前には、空っぽになったチーズのお皿だけが置いてある。

いつもなら待たずに夕飯を済ませてしまうところだけど、今日は記念日だ。自分の手料理はまだしも、ひとりで先にローストビーフやシャンパンに手をつける気にもならず、チーズを食べながらNetflixを見て気を紛らわす。

けれど、20時から見始めた映画もチーズも、亮太郎が帰ってくるのよりも先に終わってしまったのだった。

― こんな感じじゃ、さすがにプロポーズはないよね。

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第6話:「え、嘘だろ…?」同棲前に彼女の親に挨拶に行ったら、実家が金持ち過ぎて…

それぞれ社長業をしているご両親は幼少期から多忙で、家にいるのは基本的にシッターさん。さらには、3歳年下の妹さんとも相性が悪くケンカばかり。

社会人になり、大好きな飼い犬のソラがなくなるとすぐに家を出て一人暮らしを始め、それからはあまり関わらないようにしている。

明里から聞いた家族の話はそれだけだったから、ご家族に会わせたいと言われたことは、俺にとっては意外な提案だったのだ。

けれど、秋の終わりに実際に挨拶に行くことになり、俺はようやくその理由がわかったような気がした。

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第7話:彼氏と業務連絡のようなLINEばかり。付き合って1年でこれはヤバい?それとも…

家族の誕生日にもわざわざ集まらないし、私の誕生日もモノを買ってもらうだけの日で、9歳の誕生日にゴールデンレトリバーのソラをプレゼントしてもらったのが一番の思い出だ。

こんな不仲な家族がこの世に存在すること自体、亮太郎には考えすら及ばないだろう。

私は、家族と、歌織と私との間にある確執について、亮太郎にはっきり伝えたことがない。

それなのに亮太郎に、気持ちを理解してもらえるわけがない。私たちの間に流れている気まずい空気は、完全に私のせい。

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第8話:「これ、捨ててもいいよね」彼氏のスニーカーコレクションを処分したがる女。イライラした男はつい…

古めかしいNIKEの箱の中には、NIKEの名品スニーカーである“Air Max 95”が眠っている。

確かに明里のいう通り、中身はボロボロだ。まだスニーカーの正しい保存方法も知らない大学生のうちに購入したもののため、加水分解してしまっている。

それでも俺にとっては、当時のバイト代をはたいて手に入れた宝物なのだ。

ちょっとした理由でしばらく目にする気になれず、奥にしまい込んでいたけれど…それでも宝物であることには違いはない。捨てるだなんて選択肢は、とてもじゃないけど考えられなかった。

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第9話:「既婚者や子持ちばかりで、肩身が狭い…」同窓会に参加した29歳女の本音

今夜は、大学時代のゼミの同窓会だ。先生のご定年退職祝いを冠して行われた会ということもあり、会場は私の同級生だけに限らず多くの人でごった返していた。

― 亮太郎に遠慮して、ギリギリまで参加を迷っていたけれど…久しぶりにみんなに会えるのは、やっぱり嬉しいな。

そんなふうに思ったのは、決して嘘じゃない。だけどもし、「そう自分自身に言い聞かせていたのでは?」と尋ねられたら、否定できる自信もない。

会に参加して時間が経つにつれ、私の胸のなかには、ふたつの気持ちがない交ぜになっていったから──。

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第10話:29歳彼女と同棲しているのに、将来を考えていない男。結婚を迫られた彼がとった言動とは

「相変わらずモテてるな、悪い男だねぇ」

酔い紛れに軽口のような感じで軽く言った言葉だったが、瑛介は思いのほか真面目な顔で反論してくる。

「いや、俺なんかより、お前の方がよっぽど悪い男だろ」
「な…なんでだよ」

意外な反撃にたじろぐ俺に、瑛介は大袈裟に呆れたような表情を浮かべて言葉を続けるのだった。

「おいおい、本当はわかってるんだろ?年上の女の子と付き合う、ましてや同棲するってことは──“そういうこと”だって」

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第11話:結婚願望がない彼氏と迎えた、30歳の誕生日。女がショックを受けた“ある理由”

先週迎えた私の30歳の誕生日を、亮太郎はきちんとお祝いしてくれた。

家にはお花。お互いに興味のあった美術展を見に行って、カフェに行って、ぶらぶら服を見たりして…。

それから亮太郎がディナーに連れていってくれたのは、マンダリン オリエンタルにある『タパス モラキュラーバー』だった。

理科の実験みたいな斬新なお料理の数々は、どれも綺麗で面白くて最高に美味しかったし、カウンターの席での一連のコースはまるでアートパフォーマンスみたいで、すごく楽しかった。特別な誕生日の夜になったと思う。

だけど…。

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第12話:付き合って1年以上の彼女に隠している秘密。28歳男が、プロポーズに踏み切れない理由

明里が望むのならば、すぐにだって結婚してもいい。

だけど結婚は交際や同棲とは違って、家族同士のものだとも俺は思う。

兄貴のお嫁さんがしょっちゅう実家に顔を出してくれたり、4世代という大所帯で旅行に行く習慣があるような自分の家族を見ていると、どうしても考えずにはいられないのだ。

明里の家族である歌織ちゃんを蔑ろにしたまま、それでもプロポーズに進んでいいのかどうか───。

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第13話:「何もないって言われたけど…」彼氏が他の女と連絡を取っていたことが発覚。30歳女は思わず…

紹介してもらって、楽しそうな職場での亮太郎を見ることができて…すでに大満足の時間を過ごしていた私だったけれど、何よりも嬉しかったのは、複数人の人から同じセリフを言われたことだ。

「こいつ会社でも明里さんのノロケばっかりなんですよ」
「ほんと、とくに同棲し始めてからはすごいんですよ!」

照れ笑いを浮かべながら私は、心の中でひそかに幸せを噛み締める。

― なんだ。私、ちゃんと大事にされてるんだ…。

だけど、そうしみじみと思った、その時だった。

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第14話:結婚に悩んでいた28歳男が、突然プロポーズを決意。「まだ早い」と思っていたのに…

今なら明里が頑なに言わなかった理由がわかる。ぬくぬくと安定した家庭に育った俺に、全てが理解してあげられるわけがない。

考えすぎのふしがある明里の性格上、きっと、俺に見放されるかも…なんて心配までしていたに違いない。そんな明里の心中を思うと、張り裂けそうに胸が痛んだ。

そして、多分…。多分だけれど、明里があれほどまでに結婚への憧れを募らせていることにも、ようやく納得がいったような気がしたのだ。

冷たく、不信感が渦巻く家族の中で育った明里は、きっと早く自分だけの暖かい家族が欲しかったのに違いない。

その相手に、絶対的な信頼と愛情の対象に、とっくの昔から俺を選んでくれていたというのに──。

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第15話:待ち望んでいたプロポーズをされた30歳女。しかし、その瞬間感じた違和感とは

「明里が帰るまでに夕飯作って、びっくりさせようと思ってたんだけど…。全然間に合わなかった。ごめん!」

そう言って恥ずかしそうに笑う亮太郎を見て、知らずのうちに強張っていた緊張が解けていくのを感じる。

「チキンカレーって、妊婦さんでも食べられるよね!?」

そう言ってワタワタと動く亮太郎を見ていると、やっぱり、しみじみとした気持ちが込み上げてくる。

つまらないことで部屋を飛び出してしまったけれど。突然のプロポーズにも固まってしまったけれど、私はやっぱり亮太郎を愛しいと思う。だからこそ、言わなくてはいけないことがあった。

第15話の続きはこちら

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