1LDKの彼方 Vol.10

29歳彼女と同棲しているのに、将来を考えていない男。結婚を迫られた彼がとった言動とは

◆前回までのあらすじ

人一倍結婚願望が強い明里(29)は、年下の彼氏・亮太郎(27)と同棲中。

そんななか同窓会に参加した明里は、あまりに既婚者が多かったことに焦り、亮太郎に結婚願望があるかどうかを問いただすのだった。

しかし亮太郎は煮え切らず…。

▶前回:「既婚者や子持ちばかりで、肩身が狭い…」同窓会に参加した30歳女の本音


Vol.10 悪い男<亮太郎>


すっかり泡の消えたビールが、この会がダラダラと長引いていることを象徴していた。

閉店が遅いからと選んだ麻布十番の居酒屋だったが、まだ週の頭だということもあってか、24時を回ると店内はまばらになり始めている。

俺は、明里と同棲している部屋に帰りたくなくて、今夜は瑛介を捕まえた。それなのに、正面の席に座っている彼さえも、まるで俺の前から気配を消しているかのように黙り込んでなにやらスマホをいじり続けている。

「おい…瑛介なんとか言ってくれよ〜」

俺は手元にある2cmほどのハイボールを煽ってグラスを空にすると、ジロリと瑛介を睨みつける。

けれど瑛介は俺の声にちらと目線をあげたかと思うと、道端に転がる石を見たようなつまらなそうな顔を浮かべて、またしてもスマホに視線を落としてしまうのだった。

「なんだよ、お前までそんなさぁ…」

誰にも相手にされない俺は、瑛介の肩越しに目が合った店員さんにグラスを持ち上げて、指を一本差し出すジェスチャーをする。

今夜のハイボールは、これで5杯目だろうか?こんな八方塞がりな状況じゃ、黙々と飲むことくらいしかできない。

相手が誰であれ、会話が弾まないというのはつらい。

結局、どこに居ても居心地の悪い思いをしていることが、我ながら情けなかった。

この記事へのコメント

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瑛介の 「お前から同棲持ちかけておいて今結婚は考えられないなんてそりゃ残酷すぎるだろ」は本当にその通り。早くこの件について釈明するとか気持ちが変わったとか何でもいいから話さないと明里の心はどんどん離れていってしまう....
2025/02/24 05:2914返信1件
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他にもまだ誰にも言ってないでっかい秘密を抱えてるという事なのか?! 言わない訳にはいかないって、まさか妹の毒牙にかかりワンナイトしたとかだったら最悪な展開過ぎ。 涼太郎は女子の気持ち全然分かってないし能天気過ぎだからなぁ🤦🏼‍♀️
2025/02/24 05:3314
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友人(男)も似たような状況で、同棲後もなかなか覚悟を決められなくて結婚話を先延ばしにして、でもやっぱり彼女しかいないとようやく決意してプロポーズの準備をしてた矢先、家に帰ったら彼女の荷物全部無くなっていて。テーブルに合鍵と大好きだったけどもうこれ以上待てない、LINE等全てブロックするからもう二度と会わない 的なメモ書きが残ってたらしい。
2025/02/24 06:1814
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