「え、嘘だろ…？」同棲前に彼女の親に挨拶に行ったら、実家が金持ち過ぎて…(1/3)[東京カレンダー

◆前回までのあらすじ

同棲をはじめたばかりの亮太郎（27）と明里（29）。

交際して一年記念日を迎えたある日、亮太郎は仕事で起きたトラブルが原因で、明里の妹・歌織に連絡を取る。しかし、そのことを明里に告げると…。

▶前回：「何これ…」付き合って１年記念日。27歳彼氏からのプレゼントに、女が絶句したワケ

Vol.6 顔合わせ＜亮太郎＞

「家族に会ってほしいの」

かしこまった顔をして明里にそう言われたのは、同棲することを提案した秋頃のことだった。

「えっ、明里のご家族に？」

一瞬、俺の腰が引けたのを感じ取ったのだろう。

土曜昼のミヤシタパーク。『海南鶏飯食堂5』の海南鶏飯のライスを崩しながら、明里が軽い口調で補足する。

「そんな深刻に考えないで大丈夫だよ！ただ、本当に同棲するなら、両親も一度は亮太郎に会っておきたいみたいで」

「まあ、言われてみればたしかにそうか。いいよ、いつでもご挨拶に行く」

そう答えながら俺は、明里からの申し出を少し意外に感じていた。

明里から聞いている家族の話は、いつだって「あまり折り合いが良くない」というものだったから。

それぞれ社長業をしているご両親は幼少期から多忙で、家にいるのは基本的にシッターさん。さらには、3歳年下の妹さんとも相性が悪くケンカばかり。

社会人になり、大好きな飼い犬のソラがなくなるとすぐに家を出て一人暮らしを始め、それからはあまり関わらないようにしている。

明里から聞いた家族の話はそれだけだったから、ご家族に会わせたいと言われたことは、俺にとっては意外な提案だったのだ。

けれど、秋の終わりに実際に挨拶に行くことになり、俺はようやくその理由がわかったような気がした。

「え…うそだろ…？」

明里の実家を訪れた俺は、思わず驚愕の声を漏らした。