2022.07.11
薫子の愛は、重すぎる Vol.11愛とは、与えるもの。
でも、与えすぎる愛は時に、相手を押しつぶしてしまうことがある。
愛情豊かなお嬢様・薫子(26)は、そんな“重すぎる愛”の持ち主。
「適度な愛の重さ」の正解とは……?
その問いに答えを見いだすべく、改めて恋愛と向き合った女の、奮闘物語である。
「薫子の愛は、重すぎる」一挙に全話おさらい!
第1話:記念日に突然フラれた女。泣きながら綴った、元彼へのLINEメッセージ
「えっ?ひでくん。今、なんて?」
キラキラとした泡が立ち上る赤のスパークリングを片手に、薫子は問いかけた。席の向かいでは、恋人の秀明が気まずそうにうつむいている。
今日は、付き合って3ヶ月記念日のデート。再来週に控えた“付き合って100日記念日”に何をしようかと、その作戦会議を持ちかけてすぐのことだった。
「だから、別れようって言ってるんだよ。正直、薫子といると疲れるんだ」
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第2話:「男の人に慰めてほしくて」入社1日目にして、先輩からヒソヒソと嫌味を言われた女は…
「詳しいことは、前任の三島さんから聞いてね。僕のスケジュール管理とお客様の対応、あとはお礼状や手土産の手配なんかが薫子ちゃんの主な業務になると思うから…。あ、薫子ちゃんじゃなくて“竹林さん”って呼ばなきゃね」
「はい、山田のおじちゃま…じゃなくて、社長!」
しっかりと返事をしながらも、薫子の頭の中はパニックだ。椅子から立ち上がり深々とお辞儀をしつつ、今の状況に置かれるまでの経緯を思い返す。
1ヶ月前。秀明にフラれて帰ってきた、あの夜。神妙な顔をした父から持ちかけられたのは、こんな話だった。
「薫子。お父さんの友達の会社で働いてみる気、ないか?」
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第3話:「他の男性に目移りすることってない?」交際10年の恋人がいながらそう語る、女の真意
好きな人ができれば彼好みに染まり、とことん尽くし続ける薫子は、「他の人と付き合ったらどうだろう?」なんて思ったことなど一度もなかったのだ。
― やっぱり、好きな人しか見えなくなるのが、「重い」って言われちゃう一番の原因よね…。
今もまた純一郎しか見えなくなりつつある薫子は、約束の店へと向かう道すがら、自分の欠点について考え続けた。そして、ある考えに至る。
約束の時間までまだ時間があることを確認し、薫子は“ある場所”へと寄り道をするのだった。
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第4話:「今夜、この人と…」そう女が思い焦がれた麻布十番の夜。男から告げられた、期待を裏切る事実
「純一郎さん。映画に付き合ってもらっちゃって、大丈夫でした?」
ソワソワしながらそう問いかける薫子に、純一郎はニコッと微笑みを浮かべる。
「このシリーズいままで全部見てるから、最新作もちょうど見たいと思ってたんだ。一人じゃ行きづらかったし、薫子ちゃんと一緒に見られて嬉しいよ」
「そうですか、よかった」
シアターへと続くエスカレーターを何気ない顔で上りながら、薫子は心の中だけで思う。
― 映画の趣味も一緒だなんて。やっぱり、純一郎さんこそが私の運命の人なのかも…?
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第5話:「知らないほうがいい」と忠告されたものの、女が彼の“元妻”の名前を検索してみたら…?
すぐに大きなため息をつく薫子の様子を見て、紀香は手を止めて心配そうに尋ねた。
「もう。ここ1週間くらいの薫子ちゃん、どうしちゃったの?入社してからずっと、テキパキ頑張ってたじゃない。何か悩みでもあるなら聞くよ」
日頃厳しい紀香の優しげな口調に、薫子は目に涙をいっぱいためて、すがるように紀香を見つめる。
「悩み、あります…。純一郎さんに、奥さんがいたんです…」
気づけば薫子は紀香に向かって、先週の純一郎とのデートについてぽつりぽつりと話し始めているのだった。
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第6話:27歳の誕生日。意中の彼からのデートの誘いを断り、女が両親と過ごすことを選んだ理由は…
予定がなくなった誕生日の夜を、急遽こうしてあたたかくお祝いしてくれる家族の気持ちは嬉しい。
けれど、どうしても打ち消すことのできない寂しさを胸の奥に感じながら、薫子は思うのだった。
― 私、27歳にもなって何してるんだろう…。やっぱり純一郎さんからのお誘い、断ったりしなければよかったのかな…。
誕生日の当日に自分から友人を誘う気にもなれず、かといって一人で何かする意欲も湧かない。家族にお祝いしてもらうほかは、ただ家でぼんやり過ごす普通の日。
しかし、せっかくの純一郎からの誘いを断ったのは、薫子自身の選択なのだった。
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第7話:早く結婚して子供が欲しいけれど…。27歳女が、彼に本心を打ち明けられない深いワケとは?
「縛られない関係でいましょう」
とっさに口から出た言葉だったが、それがどんな関係なのか、当の薫子にも皆目検討がつかない。
ただひとつ確かなのは、シオリ先生のアドバイス通り、駆け引きをして“追わせた”ら、純一郎に告白してもらえた。
それはつまり…純一郎の元妻・シオリ先生のような女性を目指すべき。そういうことに他ならないのだと、薫子は確信していた。
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第8話:「ちょっと用事が…」と、週末に会えない理由をごまかす彼。“何かを隠してる”と確信した女は…
― 純一郎さん、何か隠してる。
いつもの純一郎なら、薫子が聞かなくても週末の予定を具体的に伝えてきたり、少しの電話なら「ちょっとごめんね」と言いながら目の前で済ませるはずだ。
だから今日の態度には、違和感しかない。終始こんな調子のデートを終えた薫子は、タクシーの中でモヤモヤとした気持ちを持て余す。
そしてついに耐えきれなくなると、ヴァレクストラのバッグの中からスマホを取り出して、おもむろにLINEを打ち始めた。
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第9話:食事会で偶然元カレに再会。「もう次の彼氏がいる」と女が告げたら、態度が豹変し…
「あれ、薫子…?」
「ひでくん…!」
目の前に立っているのは、見間違えるはずもない。去年、こっぴどく薫子を拒絶した元恋人・秀明だ。
「うっそ、ほんとに薫子?全然雰囲気違うじゃん!イメチェンしたんだ」
「あはは、そうかな…」
どうにか当たり障りない微笑みを浮かべながら対応するものの、予想外の再会に頭は混乱してしまう。
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第10話:夜、自宅のカーテンを開けると女の同僚が…。突然押しかけてきて告げたこと
― ダメだ。業務時間は終わったけど、何かしてないとどんどん憂鬱になってきちゃう。
そう思って、紀香への送別の品でも探そうとした、その時。スマホが紀香からの着信を告げた。業務の伝え忘れでもあったのかと思いすぐに応対すると、スピーカーの向こうからは弾んだ声が聞こえてくる。
「薫子ちゃん、家の前見てみて!」
「え…?」
つい30分前に閉めたばかりのカーテンを開いて、外を確認する。するとそこには、家の前の道でピョンピョンと飛び跳ねながら大きく手を振る紀香の姿が見えるのだった。
「紀香さん!?」
第10話の続きはこちら
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