抱かれた夜、抱かれなかった夜 Vol.15

女たちはなぜ、その決断に至ったのか?「抱かれた夜、抱かれなかった夜」全話総集編

これは男と女の思惑が交差する、ある夜の物語だ。

デートの後、男の誘いに乗って一夜を共にした日。一方で、あえて抱かれなかった夜。

女たちはなぜ、その決断に至ったのだろうか。

実は男の前で“従順なフリ”をしていても、腹の底では全く別のことを考えているのだ。

彼女たちは今日も「こうやって口説かれ、抱かれたい…」と思いを巡らせていて…?

「抱かれた夜、抱かれなかった夜」一挙に全話おさらい!

第1話:27歳OLが、付き合う前の男の部屋で「一夜を明かす」と決めたワケ

彼はまだ、私の職業を知らない。実は、大手映画配給会社の宣伝部で働いている私。仕事とプライベートあわせて、年間100本以上の作品を見ている。

私があえて最近ヒットした邦画のタイトルを挙げると、彼は「俺も見た!」と、身を乗り出した。彼が大して映画好きではないことがわかる。

「うち、リビングがシアタールームになってるんだよね」

経験上、わかっている。デート終盤に聞かれる「映画、好き?」という質問の後は…。

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第2話:西新宿のタワマンに住んでいるのに、毎回デートでホテルを取る彼氏。友人から「怪しい」と諭されて…

「ずっと一緒にいてくれる?」
「もちろん、ずっと一緒にいるよ」

「…結婚してくれる?」
「俺も結婚したいと思ってるよ」

この3つの質問に即答できる男は、ほとんどいない。大概の男は目を宙に泳がせながら口ごもり、適当にごまかすからだ。そんな男たちに抱かれたいなんて思わない。私だって今年、28になるのだ。不毛な恋愛をしている暇はない。

結婚適齢期の女が男に求めるのは、未来を約束してくれる言葉なのだから。

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第3話:松濤の高級住宅街から、ホテル街へと通う35歳セレブ妻。女が夫を裏切り続けるワケ

通りを1本越えると、街の空気は一変する。文化村ストリートは、高級住宅街とホテル街を分かつ境界線なのだ。

人目を忍んで坂を登ると、紫やピンクのネオンに彩られた看板が見えてくる。リゾート風の建物が並ぶ様は、設計図なしに作られたテーマパークのようだ、といつも思う。

路地を一歩入ると、通りからはじき出されたかのような小さいホテルが、ひっそりとたたずんでいた。背後に誰もいないことをうかがい、老婦人が居眠りしている受付をすり抜けてエレベーターに乗り込む。

経営者の夫と、小学1年生になる息子を持つ私が、なぜこんなところに来ているのか。それは、誰にも言えない“悩み”のせいだった。

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第4話:彼の部屋で「今日は無理」と拒否した女。どんなにタイプでも“その気”にはなれない、男の特徴

「もうこんな時間だね。俺、先にシャワー浴びてきていいかな」

― つ、ついにきた…。

「うん。私もお手洗い借りていいかな」
「もちろん。トイレは玄関の手前にあるから」

智司がバスルームに入ったのを確認して、トイレに向かう。胸の鼓動が早まるのを感じながら新調したショーツを下ろした、その瞬間。私は声にならない声をあげた。

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第5話:「付き合う前に、絶対お泊まりしたい」変わったこだわりを持つ女が、3回目のデートで男に迫ったら…

亮:またね

彼から届いたLINEを既読にせず、非表示にする。具体的な日程提示のない「またね」は、こちらから誘わない限り次がないことを意味しているからだ。

“女は抱かれると相手を好きになる”

これは恋愛のセオリーだ。だけど、それは間違っていると思う。私は付き合いたいと思った男なら、先に身体の相性を確かめる。なぜなら、それでわかる真実があるからだ。

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第6話:妊娠検査薬に、うっすら赤い線が入って…。33歳で子どもを授かったことに気づいた女が、狼狽した理由

予定日になっても生理が来ない。10日も遅れたのは、33年生きてきて今回が初めてだ。

相手はおそらく、最近関係を持ったばかりの章二だろう。大手代理店で広告プランナーをしている彼は、まだ入社3年目の25歳。

「今は、仕事を精一杯頑張りたい」と無邪気に笑う顔が脳裏に浮かぶ。彼に「あなたの子を妊娠したかも」と告げたら、どうなるだろうか…。

日菜子:話したいことがあるんだけど

章二へのメッセージを打っては消し、打っては消しを繰り返す。やっぱり、どうしても言えなかった。

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第7話:プロポーズで貰ったカルティエのリングが偽物だった…。婚約者の男は、一体何を考えていたのか?

大手航空会社のCAとして働いていた私は、20代後半で転職。現在は不動産会社の広報部に勤務している。

そんな30歳の節目に、三連リングのネックレスを購入しようと思っていたのだ。しかし在庫がないのであれば、仕方がない。今日は踏んだり蹴ったりだな…と思いながら店を出ると、みゆき通り沿いに停まっていたシルバーのアストンマーチンの中から声が聞こえた。

「先ほどは急に声をかけて、すみませんでした。どこかでコーヒーでも飲みませんか?」

…この男との出会いが、私を恐怖に陥れたのだ。

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第8話:毎週金曜の夜だけ、絶対に会ってくれない彼。怪しんだ女が尾行したところ、見てしまったモノは…

「金曜日は予定があるんだ」

表参道にあるデザイナーズマンションの一室で、私を抱き寄せながら、拓馬が目を伏せる。

「そっか…。今週も会食なんだね」
「うん、ごめんね。大切な会だから外せなくて」

付き合って半年になる拓馬は、赤坂にある商社勤務の35歳。同世代の中でも稼いでいるほうで、圧倒的に“結婚向き”の独身男性だ。でも彼には週に1度、会えない日がある。

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第9話:親友と浮気されて実家に逃げ帰り…。地元で好きでもない男と婚約した、25歳女を襲った悲劇

― ダメだ、品川に来ると思い出しちゃう。

過去の記憶がフラッシュバックし、思わずその場にへたりこむ。私はこの街で、恋人と親友を同時に失ったのだから。

1年前。私は当時付き合っていた伸也と、品川のマンションで暮らしていた。彼は駆け出しのカメラマンで、決して余裕があるとは言えなかった生活。けれど私は伸也を心底愛し、いつか結婚することを夢見ていた。

しかし6年続いた恋は、彼の裏切りで幕を閉じたのだ。「仕事があるから」と言って出かけた伸也は、品川駅の構内で女と肩を寄せて歩いていたのである。しかも相手は、私の親友・留美子だった。

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第10話:3年前にフラれた彼氏から、突然の連絡。いきなりメッセージを送ってきたのは、最低な理由からだった…

「みなさん、ありがとうございました!」

ステージの上でスポットライトに照らされていた演出家が、堂々とおじぎをしている。

彼の名は、盛丘啓太。…ちなみに、3年前まで同棲していた元カレだ。私がフラれて別れることになったが、しばらく啓太のことを忘れられずにいた。

拍手喝采の余韻が冷めきらない劇場から出て、駅へ向かって歩き出そうとすると、背後から声が聞こえた。

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第11話:「32歳年上の、信頼できる大人の男」だと思ってたのに…。彼の部屋に行った夜、起きてしまったコト

「土曜日に大阪から両親が来るから、一緒にランチでもしない?今回だけは遅刻厳禁だよ」

1週間前、付き合って半年になる彼からの提案に胸が踊った。そして迎えた土曜日の今日。約束の12時から、すでに2時間以上も遅刻しているのだ。恐る恐る電話をかけると、一平は電話に出るなり、大きなため息をついた。

「ごめん、今起きた…。LINEも電話も気づかなくって。今すぐ準備して向かうね」
「…もう、遅いよ」

遅刻しても毎回「待ってるね」と優しく言ってくれた彼の声が、今日は冷たかった。

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第12話:「あなたにどうしても会いたくて…」と、DMで男に迫る30歳美女。腹の底で企んでいたコトとは

大手外資系企業や大使館などがひしめき合うエリアから、1本入ったところにひっそりとたたずむビル。入館するのにも会員証や指紋認証が必要な、西麻布の高級ラウンジ『firefly』で、私は1年3ヶ月連続ナンバーワンに君臨している。

真っ白な膝丈ワンピースに身を包んだ私は、VIPルームへ入るなり小さくお辞儀をした。

「ご指名ありがとうございます。蘭です」

煌めくシャンデリアの先にある、VIPルーム。ここは年間100万円の会費を払える人だけが入れる、特別な空間なのだ。

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第13話:LINEを未読無視されたので、彼の家まで行ってみたら…。女が、玄関前で見てしまった光景

「どうして返信してくれないの…!?」

敏郎さんが消えたのは、冷たい雨が降りしきる土曜の朝だった。おかしいなと気づいたのは、いつもならすぐメッセージを返してくれるはずの彼が、LINEを未読無視してきたから。

「今から部屋に行くね」と送ったにもかかわらず、3時間も既読がつかなかったのだ。なんだか嫌な予感がした私は急いでコートを羽織り、東急目黒線に乗り込んだ。時刻は朝の8時。普段はサラリーマンでごった返すこの路線も、土曜日の今日は空いている。

目黒駅に着くと西口を出て、権之助坂の方へ向かって歩いた。飲食店が立ち並ぶゆるやかな坂の先に、敏郎さんの住むデザイナーズマンションがあるのだ。

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第14話:モラハラ夫に耐えかねて、家を飛び出した30歳妻。1ヶ月後、自宅に戻った女が見てしまったモノは…

総合商社に勤める彼とは、26歳のときに友人を通じて知り合った。そして新太からの猛アプローチの末、半年でスピード婚をしたのだ。

それからすぐに佐知を出産。新太の父が不動産経営をしているので、所有していた三宿のマンションに家賃ゼロで住まわせてもらっている。

専業主婦になることができて、家計的にも余裕がある暮らし。最初は幸せだと思っていた。けれど佐知が生まれてから3年にも及ぶレスと、暴力的な言葉の数々。そして、女癖の悪さ。…私はもう、耐えられなかった。

暗い気持ちでリビングに佇んでいた、そのとき。ソファーの下に何か落ちているのが見えた。

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