これは男と女の思惑が交差する、ある夜の物語だ。
デートの後、男の誘いに乗って一夜を共にした日。一方で、あえて抱かれなかった夜。
女たちはなぜ、その決断に至ったのだろうか。
実は男の前で“従順なフリ”をしていても、腹の底では全く別のことを考えているのだ。
彼女たちは今日も「こうやって口説かれ、抱かれたい…」と思いを巡らせていて…?
ケース1:男の部屋に行かない女・広瀬藍実(27)
「そういえば、藍実ちゃんって映画好き?」
23時、神楽坂のバー。今日で3回目のデートになる男が、ワイングラスを手に微笑んでいる。
「映画、好きですよ」
私は作り笑いを浮かべ、心の中で思う。
― 映画嫌いな人って、いるの?
「俺も好きなんだよね。最近よかった映画とか、ある?」
彼はまだ、私の職業を知らない。実は、大手映画配給会社の宣伝部で働いている私。仕事とプライベートあわせて、年間100本以上の作品を見ている。
私があえて最近ヒットした邦画のタイトルを挙げると、彼は「俺も見た!」と、身を乗り出した。彼が大して映画好きではないことがわかる。
「うち、リビングがシアタールームになってるんだよね」
経験上、わかっている。デート終盤に聞かれる「映画、好き?」という質問の後は…。
「これから、うちで映画でも見ない?」
― ほら、やっぱりね。
こういうセリフはすべて「今夜、君と身体を重ねたい」という意味なのだ。
この記事へのコメント
早朝起こされて 朝マックしよう!言われたらショックだし😂
中村先輩は元々藍実が好きだったんだね。良かった良かった。
確かに、5年前中村先輩が言った 「この後ウチで1杯飲まない?」は安っぽかったねw