甘い墜落 Vol.13

禁断の二股生活を楽しむ女。その悲惨な末路とは…!?「甘い墜落」全話総集編

「彼以外を、好きになってはいけない」

そう思えば思うほど、彼以外に目を向けてしまう。

人は危険とわかっていながら、なぜ“甘い果実”に手を伸ばしてしまうのか。

これは結婚を控えた女が、甘い罠に落ちていく悲劇である。

「甘い墜落」一挙に全話おさらい!

第1話:婚約者との結婚に迷う29歳バリキャリ女。彼女の傲慢な考えが、数々の“悲劇”を招いてしまう

LINEの通知音が、誰もいないフロアに響いた。

『お疲れ!今日は麻婆茄子だよ』

大介のお気に入りの、クマのスタンプと一緒に返事が届いた。

野心のない穏やかすぎる男だが、記者の第一線で戦い続けるためには、大介はぴったりの結婚相手だ。そう考えていた美津に、予想外の出来事が起こったのだ。

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第2話:「婚約者の彼だと、退屈」平凡な未来に鬱屈する女が、他の男に魔が差してしまい…

「結婚したい」という気持ちは強くあるが「大介と結婚したい」と問われると、正直自信がない。

経済系週刊誌の記者だった頃は、忙しい自分を支えてくれる彼が、最高の結婚相手だと思っていた。今でも彼と結婚して幸せになれるとは思う。

しかし、一方でこんな思いもある。

― 私の人生、平凡すぎない…?

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第3話:高級寿司を食べにヘリで京都へ。最上級のデートで男の誘惑に抗えない女の選択は…

バー『onogi』の扉が、ゆっくりと閉じていく。美津はそのスキマに細い腕をすべり込ませた。重い扉をグッと押し開け、篤志の後ろ姿に向かってすがるように声をかける。

「ま、待ってください!篤志さん」
「…あれ?どうしたんですか?」

振り返った篤志は、発した言葉とは裏腹に、美津が追ってくることを最初から知っていたかのように微笑んだ。

「…あの、その。よかったら、篤志さんの連絡先を」

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第4話:「僕にはね、妻がいるよ」旅館での密会中、男にアッサリ告げられた女は抵抗したが…

この出会いは、一生にそうそうない奇跡のようなものだ。きっと篤志も、自分に対してそう思っているはず。篤志の表情を見て、美津は確信する。

― 「付き合ってくれませんか」って言ったら、きっと篤志は顔をくしゃくしゃにして喜ぶわ。

しかしその一言は、美津の喉元で抑え込まれる。同じタイミングで篤志が口を開いたからだ。

「彼氏、いるだろうね。美津さんは綺麗だもん」

そう言って、篤志は笑みを浮かべた。筋肉質の腕を美津の背中に回す。彼女の背骨をなぞるようにゆっくりとなでながら、さらに彼は続けた。

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第5話:「結婚相手選びは、エゴと焦りとの戦いなの」婚約者に嘘をつく29歳女が年下男子に語った本音

大介と美津の横にいた客が、店を出て行く。そのとき、入れ替わりで若い男の子が店に入ってきた。

クリっとした目と白い肌が印象的な男の子だ。オーバーサイズの白いパーカーには、スポーツブランドのロゴがついている。

「にーちゃん!おひさ~!」
「え、守?」

カウンターでグラスを拭いていた誠司が、顔をあげる。

「掛川さん、すみません。こいつ、弟の守です。今、系列の横浜店で働かせていて…」

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第6話:イブの夜、婚約者に会いたくないとバーに1人で向かった女。酔って年下男についた最低の嘘

― 自分は、飢えているのだろうか。

自問しながら、車窓が切り取る横浜の街を見る。高層ビルのライトが点灯し、煌々と輝くみなとみらいの風景が美しい。

今日は、12月24日。そう、クリスマスイブだ。だからこそ美津は、まっすぐ家には帰りたくなかった。そろそろ大介から正式なプロポーズをされるような予感がしていたからだ。

― まだ、なんて答えたらいいのかわからないの…。ごめんね、大ちゃん。

自分に言い訳をしてから、美津は『onogi』横浜店のドアを開けた。

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第7話:年越しは浮気相手と…。「彼氏と別れたの」と嘘をつき、年下男子と過ごす大晦日

「あの人とは別れたの。だからクリスマスイブに、1人で飲みに来たのよ」

聖なる夜に、美津の嘘が響く。守は静止して考え込んでいた。女性から帰れないと言われた上に、突然キスをされたのだ。状況が読めなくて当然だろう。

しかし守は少しの間考え込んだあと、真顔になり恐る恐る口を開くのだった。

「…うちでちょっと休みますか?」

その言葉に、美津は沸き立つような喜びを感じながらうなずいた。

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第8話:「複数相手がいても、たいした問題じゃない」浮気中の女がすがりついた、とんでもない考え方とは

「あの。…ひとつ、聞いてもいいですか?」

美津は振り返る。心臓が、バクバクと飛び跳ねていた。

「はい」
「うちの守が、美津さんに迷惑かけていないですか?」
「…め、迷惑ですか?」

誠司は、美津の表情を測るように静かに瞬きをした。

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第9話:婚約中なのに、年下男子と二股を楽しむ女。ある夜、勘付いた婚約者から「話がある」と切り出され…

「…大ちゃん?どうしたの?」

無言でソファに座っている大介に問いかける。すると彼は、口を一文字に結んで座ったまま美津を見上げた。

「美津、ちょっといい?こっち座って」
「う、うん…」

― ん?なにか話があるんだわ。

洗い物でしっとりとした手に、汗がにじんだ。きっと守とのことがバレたのだ。そうとしか思えなかった。

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第10話:プロポーズの4日後。幸せに浸る女がゴミ箱から見つけてしまったあるモノとは…

正直、大介からのプロポーズは何度か想像したことがあった。しかし想像するたびに美津は、約束される「平凡な未来」に退屈さを感じていた。

― だから意外だわ。こんな気持ちになるなんて。

自分を一生愛しぬいてくれる存在がいる。そのことは、意外にも簡単に気分を高揚させた。これまでの恋愛とは比較にならないくらい、ひとつ深いフェーズに到達したような気がした。

― 守くんに、ちゃんと言わなくちゃ。

大介からのプロポーズを受け止めた美津は、今やすっかり心変わりしていた。守と別れて大介にきちんと向き合おうと、決意したのだった。

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第11話:ゴミ箱に、ハリー・ウィンストンの紙袋。送り主を知った女が、婚約者と暮らす部屋を飛び出した理由

ソファーに座る大介を鋭い目で睨みつけた。すると不意に大介の口元が歪み、狂ったような笑い声が漏れ出てくる。

「…え、なに?大ちゃん、怖いんだけど」

笑い出すという予想外の言動をみせた大介に動揺し、美津は一歩後ろに下がった。そんな美津に遠慮せず、大介は笑ったまま目を見開いて、ゆっくり話し始める。

「教えてあげるよ、美津。怒りたいのは僕だから…」

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第12話:温厚な婚約者が豹変。乱暴に「お前」呼ばわりされた女が、恐怖の中で気づいたこととは

― ああ、横浜に来ると思い出すわ。大晦日に守くんに告白されて、付き合って…。

無意識のうちに、顔がほころんだ。この、横浜という思い出の場所でなら、指輪を贈ってくれた守とイチからやり直せる。そんな気がしたのだ。

「あ…」

海を臨んで並んだいくつものベンチ。そのひとつに、守が座っていた。寒く暗いというのに、ひとりで本を読んでいる様子だった。

第12話の続きはこちら

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