「彼以外を、好きになってはいけない」
そう思えば思うほど、彼以外に目を向けてしまう。
人は危険とわかっていながら、なぜ“甘い果実”に手を伸ばしてしまうのか。
これは結婚を控えた女が、甘い罠に落ちていく悲劇である。
◆これまでのあらすじ
婚約者の大介に嘘をついて、守と二股交際していた美津。守から指輪を贈られたことを知り、大介を置き去りにして、守のいる山下公園までタクシーを走らせた――。
▶前回:ゴミ箱に、ハリー・ウィンストンの紙袋。送り主を知った女が、婚約者と暮らす部屋を飛び出した理由
美津を乗せたタクシーは、20時を回る頃、ようやく山下公園についた。
「寒いな…」
タクシーを降りると、その途端に刺すような寒気が全身を包む。思わず身震いをしながら、必死であたりを見回した。
― 守くん、本当にこんな寒いところにいるのかしら。
目の前には、若いカ......
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この記事へのコメント
その通りだわ。普通に大ちゃんとやり直せると思っている美津、アホ過ぎ。なんとしてもつなぎとめたい。じゃないといよいよ孤独になっちゃう
いや、孤独になるんだよ。反省しろ。