甘い墜落 Vol.3

高級寿司を食べにヘリで京都へ。最上級のデートで男の誘惑に抗えない女の選択は…

「彼以外を、好きになってはいけない」

そう思えば思うほど、彼以外に目を向けてしまう。

人は危険とわかっていながら、なぜ“甘い果実”に手を伸ばしてしまうのか。

これは結婚を控えた女が、甘い罠に落ちていく悲劇である。

◆これまでのあらすじ

交際4年目の彼氏・大介との結婚に迷いを感じ始めた美津は、以前取材したバーで、パーソナルジム経営者・篤志から口説かれる。最初はあしらっていた美津だが、次第にほだされ彼が退店すると後を追ってしまい…。

▶前回:「婚約者の彼だと、退屈」平凡な未来に鬱屈する女が、他の男に魔が差してしまい…


バー『onogi』の扉が、ゆっくりと閉じていく。

美津はそのスキマに細い腕をすべり込ませた。

重い扉をグッと押し開け、篤志の後ろ姿に向かってすがるように声をかける。

「ま、待ってください!篤志さん」

「…あれ?どうしたんですか?」

振り返った篤志は、発した言葉とは裏腹に、美津が追ってくることを最初から知っていたかのように微笑んだ。

「…あの、その。よかったら、篤志さんの連絡先を」

「おお、もちろんです。嬉しいなあ」

篤志が、ダウンジャケットのポケットからスマホを取り出す。

22時過ぎの冬の恵比寿。夜風が美津の頬を急激に冷やした。

「美津さん。ほら、コート着な」

連絡先の交換を終えると、篤志はそう言って、筋肉質な腕で美津のバッグをヒョイと持った。

ふわりと感じる香水に、美津はうっとりしてしまう。

恋の予感。そんな言葉がぴったりだったかもしれない。

「美津さん、今週の土曜は空いていますか?」

篤志は、早速美津を誘った。

― 土曜。大ちゃんと電器店に行って、新しい冷蔵庫を見る約束してたけど…。

大介への罪悪感がありつつも、美津は小さくうなずいた。

「空いてます」

― 食事くらいなら、いいわよね?

心の中で言い訳をするようにつぶやいた。

…しかし数日後、篤志から誘われたのは、美津の想像を超えた食事デートだったのだ。

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