東京婚活事情 Vol.1

東京婚活事情:取り柄のない普通の女が、眼科開業医を仕留めた理由

結婚という制度自体にも疑問が突き付けられるご時勢となってきた昨今でも、未だにアラサー女性を中心に結婚せよ!との無言の圧力が全国的にかかる。

中でも『東京』はあまりに多くの異性と触れ合ってきた男女が、社会でのきらびやかな楽しみ方を本当にわかってくるタイミングで、一人に相手を絞らなければならないという、難易度の高い決断を迫られる。

「結婚は常識」という価値観が過去の遺物となりつつある今、東京の婚活事情はどうなっているのか。その最前線に迫る。

<今週の東京婚活女子>

名前:有加子31歳
結婚時年齢:29歳
結婚歴:2年
結婚前の職業:大手銀行の一般職
現在の職業:専業主婦
旦那:五郎43歳
旦那の職業:開業医(眼科)
旦那の年収:約1億円
住まい:ミッドタウン近くのマンション
家賃:60万円

「ハズレ合コン」でも携帯をいじらず、優しい笑顔で最後まで空気を乱さない


「私の場合は、とにかく探すことだったかな。。」

目の前の上品な女は、恥ずかしそうに儚げに微笑む。とりわけ派手ではないけれど、とりわけ欠点もなく清楚で洗練された都心の奥様になった有加子。31歳。髪も肌も爪も、定期的にメンテナンスしているのだろう、どれも艶々と潤い輝いている。

夫に愛され余裕のある生活を送っている女は、どんなに抑えようとしても自分が幸せであることを隠すのは難しい。平日の昼下がりの六本木ヒルズのカフェ。この後は施設内のスーパーで買い物をして、夕方までに家に戻るそうだ。

3年前の彼女は、同じく小綺麗ではあるけれど、優しいだけが取り柄みたいな冴えない女だった。何年か続いた上司との不毛な社内恋愛に終止符を打って「婚活中」だと痛々しい笑顔で語った彼女はいかにも幸が薄そうで、昼ドラの脇役みたいなキャラだな、と昔は思っていた。女は男の選択一つでここまで変わるものだ。

「私は皆みたいに美人でもないし、田舎者だし、駆け引きとかもできなかったから。。」

いつも一歩引いた物言いをする有加子は、それでもよく夜の東京の中心とも言える西麻布などで開催される、独身のエリートやベンチャー企業経営者が集まる上質な合コンにいつも参加していた。

引く手数多で忙しく強気な美女と違い、ドタキャンする心配もなく時間をきっちりと守り、男に呼び出されたと言って1時間早々と帰ってしまうこともなく、「ハズレ合コン」であったとしても携帯をいじり始めたりもせず、優しい笑顔で最後まで空気を乱さない彼女は、合コン幹事からすれば誘いやすい存在だったのだ。お目当ての彼を横取りされる心配もない。

そんな彼女だったが、誰かとデートしたとか、口説かれているとか彼氏ができたという話もほとんどなかった。美女やモテる女は他にたくさんいるので、冴えない彼女の存在は東京の恋愛市場の中では簡単に埋もれてしまう。

そんな中、彼女は28歳という若さで、何のためらいもなく結婚相談所に登録をした。

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