2020.12.17
黒ずきんちゃん Vol.12―もしあなたが、 ”善人の顔をした悪魔”と仲良くなってしまったら…?
世の中には、こんな人間がいる。
一見いい人だが、じわじわと他人を攻撃し、平気で嘘もつく。そうして気がついた時には、心をパクッと食べられている…
そう、まるで赤ずきんちゃんに出てくるオオカミのように、笑顔の裏には激しい攻撃性を隠しているのだ。
大手広告代理店に勤める結衣(29)は、ある時偶然、昔の友人・ユリア(30)と再会する。だがそれが、すべての悲劇の始まりだった。
「黒ずきんちゃん」一挙に全話おさらい!
第1話:最初は優しかったのに、激しい攻撃性を秘めていた女。10年ぶりに再会した友人の本性
「どうして...どうしてこんなことが起こるの…」
銀座の交差点で、私は呆然と立ち尽くす。さっきまで静かに降っていた雨が、強くなっていた。雨音が強くなるにつれ、雨の粒はまるで傘に突き刺さるように、激しく打ち付ける。
「助けて…」
—カツ、カツ、カツ
ヒールの音と共に、また彼女がやってくる。笑顔でそっと近づいてきて、平気で人の心を食らう、あのモンスターが。
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第2話:「彼女、何かおかしい…」食事会の途中でゾッとした、女が男たちについた嘘とは
「大学のときから結衣ちゃん、すごく頑張っていたよね。私、当時から感心していたの。結衣ちゃんって本当に凄かったんですよ。田舎者なのに、東京に溶け込もうと必死で、髪を振り乱して頑張っていたじゃない?」
褒められているのかけなされているのか分からず、とりあえず“田舎者”という言葉の解釈に戸惑っていると、拓海が笑顔で話しかけてきた。
「そっかあ、結衣ちゃんは新潟出身なんだね。新潟は一回行ったことあるけど、いいところだよね」
何だか不思議な光景だった。しかし私が“あれ?”と思ったのは、ここからのユリアの会話だった。
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第3話:「皆の前で、恥ずかしいコト言ってごめん…」男たちとの食事中に、女が逃げ出したくなった理由
「ふぅ〜。ようやくお昼だ!」
金曜12時。赤坂のオフィスを出て、秋晴れの空の下で思いっきり伸びをする。在宅勤務が続いていたが、今週は久しぶりに連日出社をしていた。
赤坂も少し人が戻ってきたようで、以前は静まり返っていたオフィス街も、ガラガラだった近隣のお店も、今週はランチタイムになると混んでいる。
何を食べようかと考えていると、ポンっとLINEが入った。
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第4話:「彼からの押しが凄くて…」同じ男を狙っていた女友達から聞かされた、衝撃的な話とは
「え?今なんて…?」
「ごめんね。結衣ちゃんって、健人さんのことちょっと狙っていたよね?」
イケメンハイスペ経営者の飲み会から二週間後の土曜日。
その日はユリアと一緒に、私の知り合いと食事する予定があったのだが、ユリアの提案で、少し早めに会ってお茶をしていた。
しかし、呑気にソイラテを飲もうとしていた私は、ユリアの言葉に驚いてしまった。
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第5話:「誰だっけ?」しつこく狙っていた女の名前を忘れた男。そのまさかの理由に愕然・・・
「結衣ちゃん、そのワンピースどこの?すっごく可愛いね。結衣ちゃんってスタイルがいいから、そういう胸が大きく見えてウエストがくびれているワンピースが凄く似合う!私は胸がないから似合わなくて…」
天使のような微笑みを浮かべ、そう語りかけてくるユリアを、私はぼんやりと見つめていた。
幸太の一言が、頭から離れないのだ。
—ユリアと仲良くなった子は、消えていった…
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第6話:家で飲んでいたら、女が過激に豹変して・・・。男たちを硬直させた女の行為
『ユリア:結衣ちゃん、明日の次郎くんのホムパ、13時にエントランス前で待ち合わせて一緒に行かない?』
金曜20時。今週は久しぶりに忙しくて頭がぼうっとしている中、ユリアからのLINEに私は一瞬キョトンとなる。
そして事態を理解し、フリーズしてしまった。明日は、前回一緒に食事をした次郎が主催のホムパの日だった。しかし、ユリアに声はかけていなかったはず。
彼女の異常さに気づいて以来、それとなく距離を置くように努め、私からは誘わなかったのだ。それなのに、どこからか聞きつけたのだろうか。
「え…どういうこと?」
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第7話:「奥さんが傷ついているので、やめてください」会社に届いた一通のメールで、女の日常が壊れ始め…
ーもう関わるのをやめておこう…。
健人の件も、解決していない。ユリアから聞かされた話と健人から聞いた話があまりにも食い違い過ぎて、どちらを信用すればいいのかすら分からなかった。
何だかモヤモヤして、嫌な気分だ。オフィスの窓からどんよりした曇り空を見上げながら、思わずため息が出る。
けれどもそんなことは、まだこれから始まる事件の予兆に過ぎなかった。
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第8話:「君の友達から、奇妙なLINEが届いた…」ある日突然、身に覚えのない事件に巻き込まれた女
お店に着くなり、健人は心配そうに尋ねた。人の良さそうなこの笑顔を見ると胸がキュッとなるが、それよりも今日は確かめたいことがある。
ふと彼の様子を伺うと、妙に神妙な面持ちでシャンパンを飲んでいる。しかし次の瞬間、信じられない言葉を放ったのだ。
「ごめんね、結衣ちゃん。結衣ちゃんに結婚を約束している別の男性がいることを知らずにしつこく誘ってしまって…今日で最後にするから」
いつもは笑うと目尻が下がり、急に幼くなるところが印象的な彼だが、今日はとても悲しそうだった。
「え…どういうこと??私、そんな人いないんだけど…」
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第9話:「ググってみて。彼女の本性がわかるから…」昔の友人が密かに教えてくれた、女の正体
—結衣ちゃんは有利だよね。私よりいい大学だし。慶應でしょ?私は名もなき大学だから。就職も私よりいいところに決まるのかな…。
ふとユリアに言われた言葉を思い出す。あの時の私は、一体どう答えたのだろうか。
「そういえば、ユリアは結局、どこの代理店に就職したのかな…」
人の会社なんて気にもしていなかったが、胸騒ぎがして、もう一度ユリアのFacebookページを覗いてみる。さすがに会社名は書かれていなかったが、ある写真で手が止まった。
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第10話:「全て嘘だった…?」学歴やキャリアを偽り、お嬢様と名乗る美女が隠したかった素性
10年前にデートをしていた源太。バイト先のカフェで知り合ったのだが、当時ユリアも彼に好意を寄せていたことをつい先日思い出した。だからこそ、彼がすべての引き金になっている気がする。
「源太、久しぶりだね。そういえば、結婚おめでとう!」
「ありがとう。結衣は?最近どうなの?」
たまたま仕事で、私の職場の近くに来たという源太と久々にランチをすることになったのだ。注文を済ませて料理を待っている間、ユリアの話をなんと切り出そうか迷っていると、源太が意外な話題を口にした。
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第11話:「あなたのことを訴えます」。男絡みで揉めた友人から、女がされた信じられない仕返し
暖かった先月からは想像できないくらい、外はすっかり冷え込んでいる。丸の内仲通りのイルミネーションがとても綺麗で、私はすっかりクリスマスムード満載の街を見上げながら、小さく息を吐く。
真っ白な吐息が、出ては消えていく。
「結衣ちゃん、久しぶりだね」
丸の内にあるホテル内のバーで待っていてくれたのは、健人だった。
第11話の続きはこちら
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