私、愛されてる? Vol.10

私、愛されてる?:バツイチでも市場価値の下がらないハイスペ夫が、離婚を思い留まる理由

あなたは、「夫から愛されている」と断言できますか?

結婚3年目。少しずつ、少しずつ「マンネリ」に陥ってしまったとある夫婦。

熱烈に愛されて結婚した筈なのに、幸せになるために選んだ夫なのに…。

狂い始めた2人の歯車は、果たして元通りになるのだろうか。

これは、東京の至る所に転がっている、

「いつまでもいつまでも、幸せに暮らしました。」の後のストーリーです。

夫の愛情を取り戻そうと奔走する専業主婦の真希。日舞のお稽古で出会った魅力的な人物に思わぬ刺激を受け夫に本音をぶつけるが話し合いの結果、夫が出て行ってしまい、自立を決意する。


「それでは、河村健介様よりお言葉を頂戴致します」

みずみずしく弾んだ声の割には、随分と老けた司会の女だと思った。

健介がこうして結婚式でスピーチをするのは2回目である。

33歳の若造に、結婚という門出に相応しい言葉を本気で求めている参列者がいるとは到底思えないが、仕方がない。

自分はただ、代表取締役社長として、新郎の働きぶりや結婚生活へのエールを滞りなく述べれば良いのだ。

「井上君は、その優秀な頭脳を活かし…」

こうした場に立つ時に、自分に求められていることはハッキリと分かる。

2代目社長としての若々しさや爽やかさ、しかし会社を率いる者としての器の大きさや度量を見せ、新郎新婦の両親を安心させなくてはならない。

会場全体に自信を持った眼差しを向け、簡潔でいて印象に残るエピソードを、大きく落ち着いた声で披露する。

そんなものは人の上に立ち、話をする場数を踏めばそう難しいことではない。

「結婚生活は、夫がいかに我慢するか。僕自身も3年目でまだまだ若輩者ですが、それこそが平和な結婚生活の秘訣であることは間違いありません」

会場は予想通りドッと湧いたが、健介の心には虚しさが残った。

自分が本当は平和な結婚生活の秘訣など全く心得ていないことなどは、痛いほどに知り尽くしているのだから。

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