私、愛されてる? Vol.9

私、愛されてる?:「客観性ゼロ」の専業主婦の誤算。目の当たりにした、惨めな自分の市場価値。

あなたは、「夫から愛されている」と断言できますか?

結婚3年目。少しずつ、少しずつ「マンネリ」に陥ってしまったとある夫婦。

熱烈に愛されて結婚した筈なのに、幸せになるために選んだ夫なのに…。

狂い始めた2人の歯車は、果たして元通りになるのだろうか。

これは、東京の至る所に転がっている、

「いつまでもいつまでも、幸せに暮らしました。」の後のストーリーです。

夫の愛情を取り戻そうと奔走する専業主婦の真希。日舞のお稽古で出会った魅力的な人物に思わぬ刺激を受け夫に本音をぶつけるが、話し合いの結果、夫が出て行ってしまう。


「本気で彼と離婚したいの?」

そう美智子に問われた時、真希は半ば意地になっていた。

健介には、酷いことを言ってしまったと反省している。だが、真希は本気だったのだ。あんな無神経な夫と暮らすくらいなら、離婚も厭わないとたしかに思った。

それにいざとなれば、自分は実家に帰ることもできる。

現役で会社の経営を続けている父の元に娘が一人戻ってきたところで、あちらとしては何の問題もないだろう。

逃げるように実家に帰宅し鬱ぎ込む真希の様子に、さすがに母親も不審に思ったらしい。

「真希、あなた健介さんと何かあったんじゃないの」

夜、2人きりになり、がらんとしたリビングで母から問われた時、真希は思わず泣き出してしまった。観念して全てを打ち明ける。

健介がもう何日も家に帰ってこないこと。離婚も考えていること。そうすれば、もしかしたらここに戻ってくることになるかもしれない…。

「離婚ですって」

母が、悲鳴に近い叫び声をあげた。

「健介君、よそに子供でも作ったの?それとも…殴られたりでもした?そんな風には全く見えなかったのに」

勘違いを続ける母に、慌てて今の状況を説明した。

暴力や浮気があるわけではないが、健介に愛されている気がしないこと。挨拶もせず、金銭感覚も合わないこと…。

だが、母親は真希にきっぱりとこういった。

「...真希ちゃんは、昔から嫌なことがあるとすぐに学校を休んじゃう子だったわよね。お友達のことで傷つくと、2日は学校に行けなくなる。お勤めもそう。耐えきれなくなるとすぐに逃げ出しちゃうの」

嫌な予感がした。

「お母さん達が甘すぎたのよね。学校もお勤めも、この子が心身を壊すぐらいなら行かなくてもいい、って考えだった。でも結婚は違うでしょう」

息抜きに家に帰ってくるのは構わない。だが、そんな理由で離婚した娘を家に戻すなど、あちらのご両親に顔向けができない。それにお父さんがそんなこと、許すはずはない…。

延々と続く母親の説教を聞きながら、真希は途方に暮れた。

この分では、頼りにしていた実家には帰れそうにもない。

だが、このまま六本木の家に戻ったとしても何の解決にもならないだろう。

いずれにしても、自分は自立しなくてはいけないと思った。

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