あなたは、「夫から愛されている」と断言できますか?
結婚3年目。少しずつ、少しずつ“マンネリ”に陥ってしまったとある夫婦。
熱烈に愛されて結婚した筈なのに、幸せになるために選んだ夫なのに…。
狂い始めた2人の歯車は、果たして元通りになるのだろうか。
これは、東京の至る所に転がっている、
ーいつまでもいつまでも、幸せに暮らしましたー
の後のストーリーです。
「行ってらっしゃいませ。ご旅行ですか?」
少しだけ自分の父親に似ている、初老のコンシェルジュ。
彼の落ち着いた笑顔で声をかけられるたび、ほんの少しだけ孤独感が消えるわ、と河村真希は思った。
「夫が海外出張中なので、私も実家の方に帰ろうかと思って。」
不用意に個人情報をさらけ出すのは良くないと分かっていても、人恋しくてつい余計なことまで喋ってしまう。
会話が出来るよう、キャリーケースをやや大げさに引きずりながらゆっくりと歩いた。新緑が綺麗ですね、花粉症は大丈夫ですか…などの軽いやり取りでも、専業主婦として家にいることの多い真希の心は弾んでゆく。
結婚3年目。
文京区の実家を出て、ここ六本木一丁目のタワーマンションで夫と暮らし始めて3年目になる。
昔から人と競うことが何よりも苦手な真希に、企業での「おつとめ」は向かなかった。
数字で結果を出すことも、人より出世することにもまるで興味がない。
そんな性分を見かねた父が、幼い頃から習っている日舞で師範になれば良いと提案してくれたことに甘え、渋谷のお稽古場に通っている時に夫の健介と出会い結婚した。
早稲田大学のラグビー部でキャプテンを務めあげ、大手商社で数年勤務したのち実家の不動産会社を受け継いだ夫。
友人に紹介された健介の、体育会系の男性特有の直球な好意や男らしい熱い生き方は新鮮で、好意的に映った。
そして健介の熱烈なアプローチに根負けする形で、出会って6ヶ月という異例の早さで入籍したのだ。
しかし、結婚後3年経ち、29歳になった真希の脳裏には常にとある1つの疑問が渦巻いている。
ー私は夫から、本当に愛されているの…?
真希がそう思ってしまうのには、とある理由があった。
この記事へのコメント
お金遣ってくれる=愛されてるは短絡的にも感じる。他にも遣ってるのを誤魔化されてるかも知れないし。
私はモノくれるより、いつも食器洗ってくれたり、月に一度は「僕が好きだから」と細かい所まで掃除してくれたり、こちらが疲れているのを察して「今日は○○の焼き鳥食べたいな。夜は外で食べよ」...続きを見るとか言ってくれる人の方がいいわ。